天理、生駒高校の“友情応援”に勝利で応えた!夏5年ぶり白星の裏に奈良大会で生まれた特別な絆

[ 2022年8月9日 04:00 ]

第104回全国高校野球選手権大会第3日・1回戦   天理2ー1山梨学院 ( 2022年8月8日    甲子園 )

<天理・山梨学院>9回、1点差に迫られた天理ナインがお守り代わりのカードを取り出し、気合いを入れる(撮影・岸 良祐)
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 天理(奈良)は山梨学院との接戦を制し、5年ぶりの夏1勝。奈良大会決勝で戦った生駒から贈られた横断幕に力をもらい、春夏甲子園通算80勝まであと1勝とした。

 生駒山を越えて、勝利への風が吹いた。天理が競り勝ち初戦を突破。5位の松山商にあと1勝と迫る甲子園春夏通算79勝目は夏49勝目でもあり、並んでいたPL学園を上回り単独4位に浮上した。今秋のドラフト候補で「4番遊撃」の戸井零士は4回、6回にいずれも二塁打で出塁し全得点となる2度の生還を果たすなど4打数3安打の活躍。奈良大会決勝で戦った球友に勝利をささげた。

 「前日に紹介していただいて、あるということは知っていました。生駒高校の分も頑張り、しっかり勝って校歌を歌うということをチームでも言っていたので、良かった」

 一塁アルプス席にはいつも掲げられている「ガッツ!天理」の白い大きな横断幕の隣に、天理カラーの紫色の小さな幕もあった。「つなぐ心ひとつに 天理高校野球部」。その下には小さく「生駒高校野球部一同」と刻まれていた。

 生駒は今夏の奈良大会で初の決勝進出も、複数人が新型コロナウイルス陽性の判定を受けた影響で、登録20人のうち12人を変更して戦った。天理が21―0で大勝したが、戸井の呼びかけで喜びを表に出さず整列。“敬意”に感銘を受けた生駒が「頑張ってほしいという思いを伝えたい」と、保護者会を通じて6日に特別な絆を示す横断幕を届けた。1点差に迫られた9回には2死二塁のピンチも“友情応援”の力で乗り越え、夏は17年以来5年ぶりの白星。受け取った思いを勝利で応えた。

 奈良大会決勝後、ナインの自発的な行動に「ほめてやりたい」と目頭を熱くした中村良二監督も「勝利に近づける采配をして、3年生にとって長い夏にしたかった」と思いをくみ取った。甲子園までのあと1勝を目前に、万全で戦うことを許されなかった球友の無念を背負い、32年ぶりの夏制覇へともに戦う。(北野 将市)

 ◇戸井 零士(とい・れいじ)2005年(平17)1月18日生まれ、大阪府松原市出身の17歳。松原市立中央小2年からポルテで野球を始め、同5年から松原ボーイズ所属。松原第三中1年時に侍ジャパンU―12の一員としてW杯に出場し、首位打者を獲得。天理では1年秋からベンチ入りし、2年秋からレギュラー。高校通算13本塁打。1メートル81、83キロ。右投げ右打ち。

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