【スポニチスカウト部(25)】東奥義塾・中田 最速148キロ&通算23発の二刀流

[ 2022年8月9日 06:05 ]

最速148キロを誇る東奥義塾・中田
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 今秋のドラフト候補となる選手にスポットを当てる「スポニチスカウト部」。アマチュア担当記者の独自目線による能力分析とともに、選手たちの素顔を紹介する。第25回は東奥義塾の遊撃手・中田歩夢(あゆむ=3年)。投げては最速148キロ、打っては高校通算23本塁打の二刀流が、同校初のプロ入りを目指す。

 守備のスペシャリストが青森にいる。東奥義塾の遊撃手・中田は遠投120メートルの強肩を武器に高校生離れした守備力を備える「今宮2世」だ。三遊間の深い打球でも1メートル72、76キロの体から繰り出す鋭いノーバウンド送球で一塁のアウトを奪う。投げては最速148キロの二刀流。スカウトは熱視線を送っている。

 「高卒でプロを目指している。この夏は鍵になるので一戦一戦を大事にしたい」

 決意を胸に挑んだ高校最後の夏は準々決勝で八戸学院光星に敗れた。地元の弘前市にある東奥義塾から目指した甲子園出場はかなわなかったが、同校初のプロ野球選手になるもう一つの夢を追っている。

 コースに逆らわずに打ち返すクセのない打撃は、伸びしろにあふれる。「甘いボールを一球で仕留められることが持ち味」と3ボールからでも狙い球であれば積極的にスイングし、高校通算23本塁打とパンチ力も併せ持つ右打者だ。 

 1年冬から「高校からすぐに高いレベルで野球をやりたい」とプロ入りを目指し、ウエートトレーニングに励んだ。体重は入学時の63キロから13キロもアップ。投手としての最速も135キロから148キロまで上昇するなど攻守に力強さが増し、ドラフト戦線に浮上した。

 時間があればソフトバンク・今宮の動画を視聴してレベルアップにつなげる。「とても意識していてバッティングもいいですし、守備も柔らかくて肩が強い」と理想のプレーヤーに目を輝かせる。

 東奥義塾から眺めることができる、標高1625メートルの「津軽富士」と呼ばれる岩木山。小学5年時に8合目から登頂した際には、頂上付近の神社で「プロ(野球)に行かせてくれ」と願った。学校創立150周年で、野球部創部100周年の節目。待望のプロ野球選手誕生に期待が高まる。(柳内 遼平)

 《今夏は光星に敗れる》東奥義塾は1796年に弘前藩主・津軽寧親が、前身となる藩校稽古館を創設。1913年に一度廃校になった後、再興した22年に野球部も創部。甲子園出場は夏4度で、最高成績は67年の8強。98年青森大会2回戦の深浦(現木造高深浦)戦で、夏の高校野球地方大会最多得点とされる122―0(7回コールド)で勝利した。今夏はエースで最速143キロ右腕・角田楓斗(ふうと=3年)が安定した投球を見せ、中田の登板機会はなかった。準々決勝の八戸学院光星戦では中田は「2番・遊撃」で出場し、1安打などで3度出塁するも、試合は4―7で打ち負けた。

 ☆球歴 福村小3年時から福村ガッツで野球を始める。弘前東中では軟式野球部に所属。東奥義塾では1年夏からベンチ入り。

 ☆東奥義塾への進学理由 「青森から甲子園に行きたいと思っていた」と自宅から車で15分の地元校を選択。

 ☆守備で意識するポイント 鋭い送球につなげるために「良いバウンドで打球に入っていくこと」と「グラブは常に下から」を意識。

 ☆スカウトも認める強肩 日本ハム・白井康勝スカウトは「148キロが出るような肩の強さ。送球が安定している」と評価。 

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