金本知憲氏 100本塁打目前の阪神・大山 さらなる打撃のアップデートに期待

[ 2022年6月28日 05:15 ]

金本知憲氏
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 【金本知憲の虎への金言】大山は通算100本塁打まで、あと1本に迫っている。決して状態は悪くない。節目の一発が出るのは時間の問題だろう。

 大山の打撃は、投手寄りに動いていきながら左足を軸にポイントを前で打つタイプと見ていた。その証拠にボールを捉えた後は右足が浮いたり、構えの時より大きく動いていることが多い。不調時は投手寄りに体が動きすぎている傾向がある。自分に合った打ち方があり、各打者によってタイプは異なる。それだけに右打者が左足を軸にして打つことは悪い打ち方ではない。

 私自身、現役時代はステップする際、肩の投手方向への流れを確認しながら素振りを行っていた。左打者は右肩、右打者は左肩が<1>テイクバック<2>ステップ<3>バットを振り始める一連の動作の中で肩は同じ位置にあるイメージでスイングするように意識していた。ステップする際、投手寄りにスウェー(体の軸が移動)しないように心がけていた。ただ、強く意識していてもステップの際に自然と肩は投手寄りに動いてしまうものだ。

 右打者でステップの際、左肩が投手寄りに流れなかったのは落合博満さんぐらいだと思う。落合さんはステップの際、体の右側に沈み込むようにして左肩の流れ、突っ込みを抑えていたイメージ。このイメージが強すぎると、逆にボールを受けてしまう形になりやすい。それを防ぐために重要なことが左足の強い踏み込みだ。一方で、強い踏み込み、ステップを意識し過ぎると左肩は投手寄りに流れやすくなる。相反する動きとなるが、このバランスが重要なのだ。

 最近の大山の打撃フォームを見る限り左肩はそこまで動いていない。しかも右足を軸に本塁打を打っているシーンもよく見かける。本来のタイプはどちらなのか。大山自身、左足軸が合っていると思うのであれば、現状のままでいい。

 しかし、さらに左肩のスウェーを抑えれば典型的なホームランバッターのような打ち方で、もっともっと本塁打を量産できるかもしれない。今は責任ある打順を任されている。そのため自分の打撃を見直す意味でもシーズンオフに一度挑戦することも今後につながる。100本塁打は通過点。打撃のアップデートに期待したい。(スポニチ本紙評論家)

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2022年6月28日のニュース