中大1年生右腕・三奈木 3回零封でウクライナ出身の母へ届けたリーグ戦初勝利

[ 2022年4月21日 05:30 ]

東都大学野球第3週第2日   中大5ー4亜大 ( 2022年4月20日    神宮 )

<中大・亜大>初勝利を飾り清水監督(左)と笑顔を見せる中大・三奈木(撮影・西尾 大助) 
Photo By スポニチ

 2回戦3試合が行われた。前日に敗れた中大は5回途中から2番手で登板した三奈木(みなぎ)亜星投手(1年)が3回無失点と好救援。リーグ戦初勝利を挙げ、5―4で亜大を下して1勝1敗とした。日大は4―1で国学院大に逆転勝ちを飾り、青学大は4―0で駒大に勝利した。

 母に元気を届ける1勝になったはずだ。2番手で5回途中から救援した中大・三奈木が3回を無安打無失点の好投。つい最近まで高校生だった18歳がリーグ戦初勝利を挙げて「びびって投げるのではなく、相手に気持ちで負けないように投げました」と胸を張った。

 5回無死一塁からマウンドへ。最速150キロの直球を軸にこの回を無失点で切り抜けると、波に乗った。2四球を与えたが「先輩方が“思い切り投げろ”と言ってくれた」と背中を押され、7回まで無安打投球。浦和学院では投手兼外野手だったが、入学とともに投手専念となった右腕は今春は7試合中5試合に登板している。「前の先輩がつないでくれて、しっかり投げ切れた」と初々しく笑った。

 父は日本人で、母・スベトラナさん(49)はウクライナ出身。現在、同国はロシアの侵攻を受け、不安定な状況が続く。三奈木も小1の時に一度だけ母の故郷を訪れたことがある。「田舎の方だった」と記憶はおぼろげながら、街の雰囲気や風景は覚えている。母の親戚も同国には多いが「心配ですけど無事なので大丈夫だと思う」と野球に打ち込む覚悟だ。

 名前の「亜星(あせい)」は「アジアのスターになってほしい」という両親の願いが込められている。清水達也監督は、まだまだ伸びしろが大きい右腕に「中央のスターになってほしいな」と期待を寄せる。「いずれは先発で。信頼される投手になりたいです」と三奈木。スターを目指し、腕を振り続ける。(田中 健人)

 ◇三奈木 亜星(みなぎ・あせい)2003年(平15)8月12日生まれ、山口県出身の18歳。中学時代は山口東リトルシニアに所属。浦和学院では投手と外野手を兼任し、3年夏の甲子園では日大山形との初戦「7番・一塁」で先発出場し、途中からは右翼も守った。1メートル78、82キロ。右投げ左打ち。

続きを表示

2022年4月21日のニュース