エンゼルス大谷の「決断する勇気と自己分析能力の高さ」 新たな段階に入った二刀流

[ 2022年3月28日 08:30 ]

26日、ホワイトソックス戦の先発を回避した理由を話す大谷(撮影・光山 貴大)
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 今年も投打で日米の野球ファンを楽しませてくれそうなエンゼルス・大谷翔平投手(27)。その二刀流は新たな段階に入っている。25日に正式に開幕投手に指名され、26日のホワイトソックス戦を登板回避。故障ではない。投手コーチと相談し、自ら決断を下した。

 当初は26日のホ軍戦、4月1日(日本時間2日)のレッズ戦を経て、同7日(同8日)の開幕・アストロズ戦へ向かうプランだった。だが、21日のオープン戦初登板から中4日、中5日、中5日の過密日程で開幕に臨むことに不安を覚えた。

 そこで、初登板から中9日を空けて31日(同4月1日)のブルワーズ戦、中6日を空けて開幕戦に臨むという、ゆったりとしたスケジュールを新たに組んだ。「レスト(休養日)も空けながら、ベストな状態で(開幕戦のマウンドに)上がれるプランを立てたつもり」。実戦感覚はライブBP(実戦形式の打撃練習の登板)、ブルペン投球で補うという。

 昨季は投打二刀流でフル回転。打者としては蓄積疲労を回避するため、飛距離を出そうと力みやすい屋外フリー打撃を行わない調整法を取り入れるなど工夫して1年間を乗り切った。先発投手として蓄積疲労の主因となる登板間隔を軽視せず、どうすれば万全の状態でレギュラーシーズンに臨めるか、熟慮を重ねた末の結論だった。

 日本ハム時代の17年9月上旬。大谷は当時の栗山監督に本拠地の監督室に呼ばれ「投げる日を自分で決めていい」と伝えられている。当時、栗山監督は「向こうでは自分で決めなくてはいけない局面が出てくるかもしれない。一つでも多く引き出しをつくってあげたかった」と話していた。日本最終登板となった同年10月4日のオリックス戦では「4番・投手」で出場し、投げては10三振を奪うなど2安打完封、打っても1安打を記録。当時の経験があるから、今回の決断もスムーズに進んだといえるだろう。

 昨季もキャンプ中から話し合いを重ね、出場可否は大谷の意向が尊重される形に。結果的に162試合中、欠場をわずか4試合に抑え、9勝&46本塁打による満票でのア・リーグMVPにつなげた。

 進化しているのはプレーだけではない。大谷の決断する勇気と自己分析能力の高さが、二刀流選手としての進化につながっている。(記者コラム・柳原 直之)

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2022年3月28日のニュース