鈴木啓示氏 大山&輝スタメン外し、選手起用に垣間見える首脳陣の焦りこそが悪循環に拍車

[ 2021年9月1日 05:30 ]

セ・リーグ   阪神5ー8中日 ( 2021年8月31日    甲子園 )

鈴木啓示氏
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 【鈴木啓示 視点】打たれてはいけない。負けられない。その思いがプレッシャーになって、阪神が持ち味を発揮できない悪循環に陥っている。5回に同点に追いつき、ブルペン勝負なら勝機はあるとみていたが、勝負どころで本来の力が出せてない。広島、中日相手の4連敗は正直痛い。

 もう一度、思い返してほしい。阪神がずっと首位を走ってきたのは、どこに理由があったか――を。いいときは投手陣が安定し、打線はどこからでも得点ができていた。故障などで大きく戦力がダウンしたわけではない。巨人、ヤクルトと比較しても、バランス的に見劣りはしていない。

 打線から大山を外し、佐藤輝を外した。それがいい意味での危機感につながればいいのだが、今は出ている選手のプレッシャーになっている印象だ。まだ順位とかを気にして、バタバタする時期ではない。なのに選手起用を含めて首脳陣にも焦りが見えることが、選手に不安をもたらしている印象がする。

 プロ野球は結果がすべての世界。思うような結果が出ないから、選手起用を含めて動きたい気持ちは分かるが、現状では動いたことが裏目に出ている。昔から言われているが苦しいときこそ、我慢のしどころ。現役時代は西本幸雄監督の「任せたぞ」という言葉に力をもらった。首脳陣も選手も先を見ず、目の前の相手、目の前の打者に、欲を出さずに集中することが、悪循環を抜け出す方法だと思う。

 まずは阪神の強みである投手を含めた守り、そしてつなぐ攻撃。それぞれが原点に戻って与えられたところで、自分の仕事に徹するしかない。相当のプレッシャーがあるはず。だが、この時期にプレッシャーの中で野球ができるのは幸せなことだ。それを楽しめてこそ選手は成長する。今こそ味方を信じて、全員で戦うときだ。(スポニチ本紙評論家)

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