巨人 乱打戦制して堅首 吉川が凱旋打!「必死です。汗だくわっしょい」

[ 2021年9月1日 05:30 ]

セ・リーグ   巨人10ー8ヤクルト ( 2021年8月31日    岐阜 )

<巨・ヤ>6回2死満塁、吉川尚は走者一掃となる中越え適時三塁打を放ち、三塁に滑り込む(撮影・椎名 航)
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 巨人は31日、首位攻防となったヤクルトとの打撃戦を制して2連勝。負ければ3位転落の可能性もあった一戦で、地元出身の吉川尚輝内野手(26)が初回に4号ソロを放つなど3安打4打点で勝利に大きく貢献した。リーグ3連覇を狙うチームは7月1日以来の2桁得点をマークするなど打線が上り調子。19年以来、2年ぶりに開催された岐阜の地で、しっかりと首位をキープした。

 左手中指の爪はまだ黒ずんでいる。吉川はその左手でバットを押し込んだ。左翼後方に岐阜城がそびえる地元球場。打球は伸びた。「凄く緊張した。プロで初めて長良川球場でプレーできたのでうれしかった」。初回に同点に追いついた直後、中堅左へ一時勝ち越しの4号ソロ。地元凱旋の初舞台が幕を開けた。

 中京高、中京学院大と計7年も慣れ親しんだ長良川球場。高校時代は甲子園行きを阻まれて涙し、大学時代はリーグ戦を制して全国大会への切符をつかみ、笑顔がはじけた。プロのスカウトの目に留まったのも、この球場。「特別な思いはある」が凱旋はなかなかかなわなかった。新人の17年は2軍暮らし。19年は腰痛で離脱していた。

 今回の初凱旋も実現するかは微妙な状況だった。6月10日のオリックス戦で左手中指に死球を受け骨折。脱臼も重なる重傷だった。直後、ベンチ裏で手袋を外すと血だらけで中指の爪が割けて肉がむき出しになっていた。トレーナーに「行っていいですか?」と言って一度は打席に戻ろうとしたが交代。病院では「もう爪は生えないかもしれない」と宣告されて緊急手術を受けた。

 右手一本の素振りから始まったリハビリ生活。支えられた言葉は首脳陣やトレーナーから掛けられた「岐阜に間に合え!」だった。後半戦の開幕オーダーに「7番・二塁」で滑り込み、現在は3番。6回2死満塁では中越えに3点三塁打を放って貴重な追加点を挙げた。二塁打でサイクル安打達成だった8回は左飛に倒れたが「(意識は)少しはあったけど、チームが勝てたのが一番。(地元に)恩返しが少しできた」と胸を張る。「やや我が軍が上回った」と乱打戦を振り返った原監督からも「古里に錦を飾った」と称えられた。

 「必死です。汗だくわっしょいです」と吉川。骨折を乗り越えた左手で、一生懸命みこしを担いでいる。(神田 佑)

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2021年9月1日のニュース