即断即決で果敢に選手起用…巨人・原監督、采配スタイルのルーツは将棋?

[ 2020年7月25日 09:00 ]

巨人・原監督
Photo By スポニチ

 02年から昨年までプロ野球記者だった。印象に残る監督は3人で共通していたのは「メディアに、どう取り上げてもらうか」という意識を常に持っていたこと。08~10年の巨人・原監督、12~14年の楽天・星野監督、16~19年の日本ハム・栗山監督は担当記者とのコミュニケーションを欠かさず、試合のない移動日などは空港や新幹線のホームで「書くネタはあるか?」と心配してくれたほど。1対1で話を聞くために朝から球場の駐車場などで待ち構えると、その努力に報いるようにリップサービスしてくれた。記者として育ててくれた「恩師」とも言える。

 今年からは会社で記者からの報告を受けて新聞を編集する立場となった。そして「原さんらしいなぁ」と思わず声が漏れたのは17日昼のこと。巨人担当から「朝、原監督が横浜に移動する前の広島空港で報道陣と将棋の話に花を咲かせました」という報告を受けた時だ。前日の16日に史上最年少でタイトルを獲得した将棋界の新星・藤井聡太棋聖(18)の話題から入り、幼少期に父・貢氏から手ほどきを受けたこと、巨人時代は試合直前のロッカーで先輩の江川卓氏から30秒の「早指し」で鍛えられたエピソードも披露。当日は横浜スタジアムでナイターのDeNA戦で勝利し、18日の本紙1面は「原名人」、「飛車角(坂本、丸)復活」など将棋に絡めた見出しが躍った。原監督の変わらぬ担当記者へのサービス精神のおかげで、目を引く紙面を作ることができた。

 実際、原監督の将棋の腕前はどうだったのか。巨人時代に原監督と同僚で、日本将棋連盟から「二段」の免状も授与されている本紙評論家の広澤克実氏によれば原監督の得意の戦法は7手で素早く作れる「美濃囲い」を組み、相手が守りを固めている間にとにかく攻めること。巨人移籍前に所属していたヤクルト時代には古田敦也氏や池山隆寛氏ら猛者らとしのぎを削った広澤氏でさえ「攻めが早くて、受けなきゃいけなかった。相当、強かった」とうならせるほどの腕前だったようだ。

 延長を視野に入れて余力を残すことなく、即断即決で果敢に選手を起用する采配のスタイルは、将棋で確立されたのかもしれない。そんな妄想を膨らませながら、会社で巨人の快進撃を見守っている。(記者コラム・山田 忠範)

続きを表示

2020年7月25日のニュース