名古屋市工・宮崎監督 “恩師”野村克也氏から継いだ「弱者の兵法」

[ 2020年7月25日 13:39 ]

夏季愛知県高等学校野球大会 4回戦   名古屋市工―中部大春日丘 ( 2020年7月25日    パロマ瑞穂 )

故野村克也監督の教えを胸に、愛知大会を戦う名古屋市工・宮崎監督
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 思いは届かなかった。降雨の中プレーボールはかかったが、2回裏の守備中に中断し、39分後にノーゲームが決定。名古屋市工・宮崎武幸監督(40)は「力は向こうの方があるので、ウチとしてはやりたかった…。相手が本来の力を発揮できない環境で付け入るスキができる」と苦笑いで天を仰いだ。

 「弱者の兵法」は恩人から受け継いだ理論だった。同監督は中部大からシダックス、新日本石油ENEOS(現ENEOS)を経て、同校監督に就任。シダックス時代に3年間、今年2月に逝去した故野村克也監督(享年84)のもとでプレーした。戦術、技術、組織論…。学んだことを挙げればキリがない。その中で最も影響受けたのは「愛情」と言い切る。

 「生徒とコミュニケーションを取って、ふざけ合ってやっています。野村さんも愛情の強い方でしたし」

 恩人もグラウンドを離れれば、気さくだった。宴会の席では笑顔で「一発芸、やってくれ」と求められるのがお約束。宮崎監督はここぞとばかりに鉄板ネタでもある、西川のりおの「ツッタカ坊や」を披露し、場を盛り上げた。

 「人生を変えてくれた人。あの3年間が分岐点だった」

 出会いがあったから、指導者を目指した。そして今、恩人同様、チームが一丸となるよう腐心し、工夫している。

 就任数年後に、ユニホームを一新した。どことなくシダックスを思わせる赤を基調としたものだ。「中学生を集めたかった。あのユニホームを着て野球がしたいと思わせたかった」。受け継いだ理論や戦術をチームに浸透させるのではなく「詰め込みすぎるといけない」とかみ砕き、折を見て生徒に伝えている。

 試合は26日に順延となった。天気はまたしても雨模様だ。

 「元々は“甲子園に行こうぜ”って挑戦を始めたチーム。今の目標としては(同ブロックの)中京大中京と対戦して勝ちたい」
 2017年には4勝して5回戦まで勝ち上がった名古屋市工。名将の教えを受け継ぐ熱血理論派指揮官がナインの先頭に立つ。

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2020年7月25日のニュース