ダル 4者連続含む5K チェンジアップに手応え「2個取れた」

[ 2018年3月13日 05:30 ]

オープン戦   カブス2―7アスレチックス ( 2018年3月11日    メサ )

カブスのダルビッシュ
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 新たな武器に、確かな手応えを得た。カブスのダルビッシュ有投手(31)が11日(日本時間12日)、アスレチックス戦で3回1/3、55球を投げて4安打2失点、5奪三振。本格習得を目指しているチェンジアップで2三振を奪い、さらなる進化を予感させた。

 イメージ通りの軌道を描いた。ダルビッシュは2回、先頭の右打者ピスコティを追い込むと外角に91マイル(約146キロ)のチェンジアップを投じた。この日最速96マイル(約154キロ)の直球との緩急差で16年にカージナルスで22本塁打を放った強打者は完全にタイミングを外され、空振り三振。「奥行きが凄くあって、右打者に使えたので自信になりました」とうなずいた。

 キーワードは「奥行き」。ダルビッシュといえば150キロ台中盤の直球、シュート気味に食い込むツーシームに鋭く沈むシンカー、横滑りのカッター、スライダー、カーブと、誰よりも巧みにボールを動かす。しかし、チェンジアップは得意な部類ではなかった。

 その理由を「カーショーもそうですけど、凄く前で(ボールを)放す投手は最後に抜くスペースがない。カーショーもチェンジアップは苦手」と明かす。レンジャーズ時代のダグ・ブロケール投手コーチが「100種類は握りを試している」と冗談めかすほど研究し、レ軍のハメルズやドジャースの柳賢振(リュヒョンジン)ら、チェンジアップの名手が同僚になると、必ずアドバイスを求めた。

 光が見えたのは、昨年のアストロズとのワールドシリーズだ。第3戦で打ち込まれ「何か目先を変えないと」と第7戦で右打者にチェンジアップを試し、右打ちの4番打者コレアを一ゴロに打ち取った。結局2回途中で降板し、世界一を逃したが、オフにこの球の練習を積んできた。今回は3回1/3を4安打2失点ながら、4者連続を含む5奪三振。「チェンジアップで三振を取ると言っていて、2個取れた」と納得顔で話した。

 ジム・ヒッキー投手コーチは、ダルビッシュが現在投げているこの球を「パワーチェンジアップ」と呼ぶ。「(通常のチェンジアップのような)斜め横に流れて落ちていく軌道ではなく、スピードがあってそのまま少し沈む」ためだ。途中まで直球に近い軌道だが、同じ球速でボールが手元にこない。「奥行き」で打者のタイミングを狂わせるのだ。ダルビッシュはこれまで実戦でチェンジアップを使うことは少なく、昨季は全投球のわずか1・7%。常に使える球種に加われば、投球の幅がさらに広がる。

 アスレチックスと同じメサでキャンプを張っていることもあり、この日は敵地の球場ながら多くのカブスファンが集結。観衆は1万人を超え(1万29人)、4回途中の降板時にはスタンディングオベーションを浴びた。「自分が思っていた以上に注目されている球団なんだな、と最近思い出してきて、ちょっと大丈夫かなと。迷惑をかけないように」。2年ぶりの世界一への使者として加入した右腕。冗談めかした表情に充実ぶりが垣間見えた。(奥田秀樹通信員)

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