サッカー王国出身の牧田が野球を選んだ理由…競技の未来も背負うプロ選手

[ 2016年7月26日 09:35 ]

西武の牧田

 人生の節目でスポーツ競技の選択に迷う少年少女は多いだろう。だから、彼らの「目標」でもある各競技のトップアスリートたちの責任は重い。

 今月19日のロッテ戦前、西武プリンスドームで記者と同じ静岡出身の西武・牧田と雑談した。お互いの実家の距離が徒歩圏内でもあり、いつもローカルトークに花が咲く。そして何げなく質問した。「サッカーをやろうと思わなかった?」。牧田は苦笑しながら「僕ぐらいの静岡出身のプロ野球選手は、その質問が多いんですよ」と言った。

 静岡は言わずと知れた「サッカー王国」。31歳の牧田ら現在の「アラサー」は小学校の低学年だった93年にJリーグが創設された世代でもある。牧田も「当時はサッカーを始める同級生も多かったですね」と振り返る。では何が牧田を野球に引き留めたのか。その理由を「オリックス時代のイチローさん(現マーリンズ)、巨人の高橋由伸さん(現監督)に憧れた。やっぱりプロ野球選手が格好よかったから野球を続けられた」と言った。

 先日、DeNAの石川にも話を聞いた。高校は横浜ながら静岡出身。どちらかと言えばJリーガーのような雰囲気を漂わせている29歳は「実は小学校の3年の時に野球をやるかサッカーをやるかで迷いました。サッカー部の友達が多かったので」と明かす。そんな石川が野球を続けられた理由の一つは、攻守で当時のチームをけん引していた石井琢郎(現広島打撃コーチ)への憧れだった。

 牧田、石川はプロ野球選手を夢見て野球に打ち込み、現在は全国の子供たちに夢を与える存在になっている。近年は野球賭博問題や球界の大物OBが覚せい剤取締法違反の罪で逮捕されるなど暗いニュースも多いが、やはりプロ野球選手は子供たちにとって憧れの存在だ。今年4月にはプロ野球選手会が同会に所属する選手の平均年俸が3712万円と発表した。日本の他のプロスポーツ選手と比べても群を抜く、夢のある数字だと思う。

 来月5日にはリオ五輪が開幕する。次回の20年の東京五輪では野球・ソフトボールが競技として復活する可能性が高い。トップアスリートたちは、それぞれの競技の「未来」も背負っている。(記者コラム・山田 忠範)

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2016年7月26日のニュース