秋田 2強から戦国時代へ…県立中高一貫教育校が躍進したワケ

[ 2016年7月26日 10:25 ]

<大館国際情報学院・秋田商>初の4強に喜びを爆発させる高坂(中央)ら大館国際情報学院ナイン

 25日に全国高校野球選手権秋田大会の決勝が行われ、大曲工が角館を下して夏の甲子園初出場を決めた。ベスト4入りしたのは大曲工、角館、能代工、大館国際情報学院。かつては秋田商、秋田経法大付(現明桜)の2強時代が長く続いていたが、戦国時代の到来を感じさせる顔ぶれとなった。

 中でも、昨夏代表の秋田商を準々決勝で撃破した大館国際情報学院の躍進は素晴らしかった。同校は大館商を母体とし、05年に校名変更して誕生した県立中高一貫教育校。今春県大会で8強入りしたが、夏は昨年まで4年連続で1回戦敗退だった。それが今夏に11年以来の初戦突破を果たすと、あれよあれよという間に校名変更後初の4強入りを果たした。準決勝で大曲工に0―2で散ったが、堂々と胸を張れる結果だ。

 もちろん、勢いだけで4強に上り詰めたわけではない。昨冬には計3度、体重増を目指す2泊3日の「食合宿」を実施。合宿中は1食あたり白米1合がノルマとされ、昨秋62キロだったエース右腕・高坂は10キロ増の72キロとなった。直球の最速も135キロから141キロにアップ。球威が増したことで、直球主体でねじ伏せる投球ができるようになった。

 さらに、藤盛憲二監督は6月下旬以降、ナインに周囲を「見ること」の大切さを説いてきた。「ミスした選手って、決まって下を向いて周りを見ないんです。そこをちゃんと見合って、周りを見て次の確認をしようと言った。下を向いていると味方に声を掛けられても分からないし、相手の表情も分からないですから」。たとえミスが出ても周りを見て、確認して、声を掛ける。一見当たり前のことだが、この3つを徹底したことで、以前のように「四球やミスでガタガタっと崩れる」(藤盛監督)チームではなくなった。それが、秋田商戦でも浮き足立つことなく、冷静に試合を進められた一因だろう。

 新チームには、今大会ベンチ入りの1、2年生計6人が残る。今夏得た経験を糧にして、初の甲子園出場へ再び走り出す。(記者コラム・原田 真奈子)

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2016年7月26日のニュース