賭博調査委 削除メール、LINEデータ復元で「動かぬ証拠」

[ 2015年10月22日 06:31 ]

記者会見で、新たに2選手が野球賭博を行っていたと発表するNPB調査委員会の大鶴基成委員長(中央)。左は宮本慎也委員

巨人・笠原、松本竜 野球賭博関与発覚

 調査委員会の緊急会見後、都内で会見を行った熊崎勝彦コミッショナーは「文化的公共財であるプロ野球の健全な発展のために全力を挙げるということに尽きます」と覚悟を示した。

 巨人の内部調査では当初発覚しなかった税理士法人勤務を自称する大学院生A氏、飲食店経営者のB氏と笠原の関係、福田、松本竜の新たな事実も調査委の中間報告で明らかになった。熊崎コミッショナーが「徹底究明を」とし、調査委へ委嘱したのは今月5日。17日間の調査方法について、大鶴基成委員長によると、3選手から提出された携帯電話は、いずれもメールが削除されていた。削除されたメールや無料通信アプリ「LINE」のやりとりを「デジタルフォレンジック(電子鑑識)」を駆使して復元。「メールは極めて膨大な量ですが、分析し、何月何日の何時何分にどういうやりとりを誰としているのかを踏まえヒアリングをした」と同委員長。膨大な量のメールを分析するために調査委の3人だけでなく、新たに弁護士7人が参加。NPBの職員の補助も受け、動かぬ証拠をつかんだ。

 3選手ともに勝敗への関与や共謀など、八百長行為を規定する野球協約第177条への抵触については現時点で認められないが、まだ全ての調査が終わったわけではない。中間報告ではA氏、B氏を野球賭博常習者と認定したが、両氏の暴力団などの反社会的勢力との関わりについては「調査中」(同委員長)とした。A氏とB氏へのヒアリングも現時点では1人だけしか行われておらず、他の選手や巨人以外の球団の選手と両氏の接点についても「今までの調査では認められていない」と話すにとどまった。今後の調査で新事実の発覚や、他球団に飛び火する可能性は否定できない。

 調査委員会は今後1カ月をめどに最終報告を行い、熊崎コミッショナーに処分案と再発防止策を提出する。同コミッショナーは「自浄能力をきちっと発揮していくことは野球界全体が認識していること」とした。 (倉橋 憲史)

 ▼宮本慎也調査委員(元ヤクルト、野球解説者)ジャイアンツだけの問題ではなく、重く受け止めている。再発防止のため、調査委員長をはじめ、皆さんと一緒に考えて、やっていかなければいけない。

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