ドラフト指名を待つ長身選手たち 190センチ超候補生ずらり

[ 2015年10月22日 13:00 ]

明大・上原

 日本人選手の体格はどんどん巨大化してきている。発育過程での栄養摂取やトレーニング面の向上など、さまざまな要因があるだろうが、プロ野球界に大型選手が増えているのは明らかだ。

 また、一昔前は190センチ前後の身長だと、動きが鈍重な選手が多かったが、藤浪晋太郎(阪神/198センチ88キロ)、大谷翔平(日本ハム/193センチ90キロ)に代表されるように、今や動きにキレのある長身選手も多い。今年のドラフト指名を待つ選手たちのなかにも、そんな夢のある「大男」がいるのだろうか。

 今ドラフトで注目の長身選手は、1位指名候補のサウスポー・上原健太(明治大/190センチ86キロ)だ。たとえ上背があっても、リリースポイントが低くて角度を生かせない投手も多いが、上原はしっかりと角度をつけられる。これは最速151キロのスピード以上にプロで武器になるはずだ。本来なら1位指名で競合してもおかしくない逸材だが、最も状態の良かった大学2年時から、やや足踏みが続いている。それでもスケールの大きさは間違いなく本物。将来は日本を代表するような左腕に成長することを期待したい。

 続いてドラフト指名が予想される大男は、與那原大剛(普天間高/190センチ89キロ)。まだその巨体を思うようにコントロールできていない素材型右腕だが、体にひねりを入れるトルネードぎみのフォームから最速148キロをマークする。今夏は多くのスカウト陣を沖縄に集結させた。

 その他にも、高校生なら中村晨(ルーテル学院高/190センチ80キロ)も可能性を秘めた右腕。高校から投手に転向したばかりで、伸びしろも魅力的だ。大学生では吉田慶司郎(常磐大/190センチ83キロ)、宮地翔太(中京学院大/190センチ91キロ)という長身右腕も指名を待つ。

 野手では社会人外野手の杉本裕太郎(JR西日本/190センチ92キロ)が楽しみ。打席で大きく見えるホームランバッターで、ツボにはまれば打球が見えなくなるほど遠くまで飛ばせる。大柄だが俊足を誇り、センターも守れるのは魅力だ。

 また、身長は190センチまで届かなくても、球場で独特な存在感を漂わせる「巨漢」にも目を向けてみたい。

 ともに最速150キロを超えるストレートを投げ込む大学生右腕、田中豊樹(日本文理大/180センチ90キロ)と西村天裕(帝京大/177センチ92キロ)は巨漢の双璧だ。田中は強靭な上体の力を生かした、迫力あるボールを投げる。落ちる変化球もあり、プロではリリーフとして起用されそうだ。一方、西村は低めに生きたストレートが投げられるなど、好調時の爆発力は目を見張るものがある。ただ、今秋のリーグ戦で左膝を負傷し、完治までに時間がかかる見込みという点が気がかりだ。

 高校生では、高校通算97本塁打のスラッガー・黒瀬健太(初芝橋本高/181センチ98キロ)、さらに「我孫子のジャイアン」という異名で今夏話題になった右腕・宮城正規(我孫子東高/181センチ100キロ)がいる。

 最後に独立リーグからとっておきの巨漢を。赤松幸輔(香川オリーブガイナーズ/188センチ106キロ)は、その類まれな長打力がプロスカウト陣からも注目されている。今季は四国アイランドリーグplusで64試合に出場し、打率.276、9本塁打をマークした。捕手登録ではあるが、その打力を生かして一塁手や右の代打として育ててみたいと考えるNPB球団があるかもしれない。

 将来的に化けるか未知数な素材ばかりだが、いずれもいつかはプロの世界で大輪の花を咲かせる可能性をもっている。もちろん、体が大きければいいというものではない。だが、もし彼らのような巨大な選手が一人でも多く大成したら、日本の野球はよりダイナミックに、そしてより面白くなるはずだ。

 ◆菊地選手(きくちせんしゅ) 1982年生まれ、東京都出身。野球専門誌『野球太郎』編集部員を経て、フリーの編集兼ライターに。プレーヤー視点からの取材をモットーとする。著書『野球部あるある3』(集英社)が8月に発売された。

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