中日・岡林 らしく球団記録に並ぶ 初回、初球、低弾道の鋭い打球で25試合連続安打達成

[ 2023年8月13日 05:03 ]

セ・リーグ   中日3-2広島 ( 2023年8月12日    バンテリンD )

<中・広>初回、岡林は球団タイ記録となる25試合連続安打を放つ(撮影・椎名 航)
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 連続試合安打が始まったのは7月11日。1カ月が過ぎても、その快音は鳴りやまない。「初代ミスタードラゴンズ」に並ぶ一打を放ったのは岡林だった。

 一振りで、1球で決めた。初回先頭の第1打席で森下の初球、真ん中寄りの149キロ直球を強振。“らしさ”が詰まった低弾道の鋭い打球で、右前にはじき返した。チームの連敗を4で止める口火の一打は、49年の西沢道夫の球団記録に並ぶ25試合連続安打だ。

 かねて数字は意識していないという岡林は、取材対応せずに球団を通じて「明日も頑張ります」とだけコメントした。それでも価値の大きさは変わらない。74年前に打ち続けた背番号15は永久欠番で、初代ミスタードラゴンズとして有名。投手としても球団史上初のノーヒットノーランを達成するなど数々の偉業を成し遂げたレジェンドと肩を並べた。

 菰野時代は主に投手としてプレーし、最速153キロ、高校通算21本塁打を誇った。1年目の春季キャンプで、外野手で勝負することを決断。3年目の昨季は161安打を放ち、高卒3年目以内では94年イチロー(オリックス)以来となる最多安打のタイトルを獲得した。今季も128安打はリーグトップ。2年連続のタイトルも射程に捉えるなど、伸びしろは計り知れない。

 岡林と同じ右投げ左打ちで、3代目ミスタードラゴンズの立浪監督も目を細める。「明らかに昨季よりスイングが強くなった。変化球の対応も開幕当初よりも良くなり、粘るような打席も増えてきて、もう少し、そこが身につけば、優に3割を打てる打者というところまできている」と絶賛した。チームを背負う存在となるために、21歳が安打を重ねていく。 (湯澤 涼)

 ▽西沢道夫 球団草創期のメンバーで投手、野手で活躍。64~67年は監督。「初代ミスタードラゴンズ」として知られ、52年首位打者と打点王の2冠。日本一の54年には主砲で貢献。背番号15は永久欠番となっている。1936年(昭11)12月、15歳で名古屋(現中日)のテストを受け投手として入団。37年秋に初登板、38年春に史上最年少の16歳9カ月で初勝利。40年にキャリアハイ20勝。42年にはノーヒットノーランを達成した。ゴールドスター移籍の46年に野手転向。49年中日に復帰して球団記録の25試合連続安打。50年にはシーズン5本の満塁弾(プロ野球記録)を含むキャリアハイの46本塁打を記録。日本プロ野球史上、投手で20勝以上、打者で40本塁打以上の両方達成は西沢だけ。

【データ】
 ○…岡林(中)が7月11日のヤクルト戦から25試合連続安打。連続試合安打のプロ野球記録は、79年高橋慶彦(広)の33試合だが、中日では1リーグ時代の49年西沢道夫に74年ぶりに並ぶ球団最多記録になった。なお、25試合以上連続安打は岡林で29人目になるが、21歳での達成は前記高橋慶の22歳を下回る最年少記録だ。

 ○…昨季と今季の岡林のコース別打撃成績を比較すると、ストライクゾーンを9分割して3割以上のコースが昨季は6個だったのに対し、今季は8個。得意ゾーンが増え、穴が減っている。唯一苦手にしているのは内角高め(13打数無安打)だが、内角で真ん中の高さは打率.412、真ん中高めは.583と大得意。少しでも高さやコースがずれると確実に仕留めており、相手バッテリーにとって、より厄介な打者となっている。

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