【甲子園】九州国際大付・佐倉 初戦敗退も涙なし 土を持ち帰らなかった真意、そこには主将らしい思いが

[ 2023年8月13日 05:30 ]

第105回全国高校野球選手権記念大会第7日2回戦   九州国際大付0-3土浦日大 ( 2023年8月12日    甲子園 )

<九州国際大付・土浦日大> 土浦日大に敗れ空を見上げる九州国際大付・佐倉 (撮影・亀井 直樹)
Photo By スポニチ

 今大会最後となる出場49校目での登場となった九州国際大付(福岡)は土浦日大(茨城)に0―3で敗れ2大会連続の初戦突破はならなかった。「高校四天王」の一角で高校通算31発の佐倉(人ベンに峡の旧字体のツクリ)史朗主将(3年)は「4番・一塁」でスタメン出場し、4打数1安打に終わった。

 3点を追う9回。外野までびっしり埋まった甲子園からの自然発生的な拍手に送られ、九州国際大付の佐倉は打席に向かった。

 「正直、全然負ける気はしなかった。ここからの逆転劇を思い描いていた」

 この試合4打席目で初の安打を中前に放つと、ベース付近でほえて主将としてチームを鼓舞した。2死二、三塁まで攻めたが、ホームは遠く6安打零封負けで初戦敗退。「負けてしまって悔しいですけど、ここまで支えてくれた方への感謝が強い」と涙はなかった。

 同じく「高校四天王」として注目されている花巻東の佐々木麟太郎と広陵の真鍋慧はともに初戦を突破したが、続くことはできなかった。「ああいう選手がいるからチームの勝利に近づく。そういう選手に自分がなれなかったのは、悔しい部分」と唇をかんだ。プロ注目のスラッガーは志望届の提出について楠城徹監督、家族と話し合って決断を下す。「野球人として出したい気持ちはある。野球人生のゴールはプロで活躍すること」と力強く話した。

 主将に就任してから昨秋の福岡大会初戦敗退など苦悩も重ね、たどり着いた3度目の夢舞台。自身の本塁打よりも、チームの勝利を渇望して突き進んできた1年だった。敗戦後のベンチ前では甲子園の土はあえて持ち帰らなかった。その真意を聞かれると「後輩がもう一回来てくれるので。僕が持って帰らなくても、あいつらが行くと思って」。主将らしい言葉を残して聖地を去った。 (杉浦 友樹)

《田端は収穫の95球》
 福岡大会から主戦として引っ張ってきた2年生左腕の田端竜也は3回に先制の本塁打を浴びたが、「最少失点で抑えていこう」と腕を振った。6回まで1安打に抑えるなど初の聖地で力投。8回を4安打3失点で8三振を奪った。「守備から攻撃に流れを持ってくるのが、うちの持ち味なので。そこはできた」と収穫もあった95球だった。中学時代に所属した「球道ベースボールクラブ」の1学年先輩、佐倉の背中を追ってきた。福岡に戻ると秋季大会が控える。「3年生のためにも、また全国に出て結果を残せるようにやっていきたい」と雪辱を誓った。

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年8月13日のニュース