「ラストチャンス」でフォーム改造ハマった 輝き放つ中日の斎藤綱記

[ 2023年8月13日 08:00 ]

8月2日の阪神戦(バンテリンD)で移籍後初勝利を挙げ、ウイニングボールを手に笑顔の斎藤
Photo By スポニチ

 「お久しぶりです。中日担当になられたんですね」。オリックス担当だった16年から見ていた左腕は、人懐っこい笑顔のままだった。日本ハムからトレード移籍した中日・斎藤綱記投手だ。

 「今回はラストチャンスだと思っています。結果にこだわって、やっていきたい」

 北照から14年ドラフト5位でオリックスに入団。昨年オフに日本ハムへトレード移籍が決まり、今年5月10日に移籍後初勝利を挙げた。その1カ月後、中日へトレード移籍となった。短期間で2度の交換要員となったことを受け止めて、強い覚悟で臨んでいる。

 3度目の新天地で、存在感が際立つ。8月2日の阪神戦で、先発・メヒアが右胸筋の違和感で3回1失点で緊急降板した時のこと。ブルペン陣総出の奮闘でチームの連敗を5で止めた。立役者の1人が斎藤だった。1―1の5回に3番手で救援し3者凡退。直後に岡林の決勝打で移籍後初勝利が転がり込んだ。

 快投の要因の1つがサイドスローからスリークオーター気味のフォームへ改良したこと。オリックス時代の17年にサイド転向し日本ハムでも続けていたが、中日移籍後すぐに大塚投手コーチから助言を受けて決断した。

 「大塚コーチから“その体格(1メートル82、93キロ)なら、もっと球速が出るのでは?”と言ってもらえたんですよね。それで、サイドからとか、そういうのは意識せず、自分が投げやすい位置で腕を振ろうと」

 テレビ画面越しでも分かるほど、格段に球威がアップ。130キロ台中盤だった球速も140キロ台となるなど数字にも表れている。直球で勝負できるようになったことで、元々、空振りを取れるスライダーが、より効果的となった。

 立浪監督も「(打者が)右でも左でも、いい投球を続けてくれている」と評価する。オリックスでは中嶋監督が「左対左のワンポイントは違うと思う。右打者の時に左投手を出しても構わない。延長12回まである中で1イニングを投げられる投手が必要」という方針を示していたこともあり、斎藤自身も1イニングを投げ切れる準備を重ねてきたこともプラスになっている。

 8月12日終了時点で、中日移籍後は15試合連続無失点と好救援が続く。「まだまだです。しっかり戦力になれるように」と斎藤。背水覚悟の必死な姿勢は、低迷するチームにも好影響を与えるはず。奮闘する新戦力に注目だ。
(記者コラム・湯澤 涼)

続きを表示

「始球式」特集記事

「落合博満」特集記事

2023年8月13日のニュース