侍・白井HC メキシコ戦の村上サヨナラ打 「見せ場が来たなと思ったが、後ろに30人のコーチャーが…」

[ 2023年3月28日 13:26 ]

白井ヘッドコーチ(右)と栗山監督
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)で世界制覇を果たした侍ジャパンの白井一幸ヘッドコーチ(61)が28日、テレビ朝日「羽鳥慎一モーニングショー」(月~金曜前8・00)に生出演。WBCの舞台裏を語った。

 不振だった村上宗隆(ヤクルト)の打順を4番から5番に下げる際、栗山英樹監督から「変えようと思うんだ」と相談されたという。白井コーチは「何が正解か不正解かはわからないので監督が判断した通りにやった方がいいですよ」と返したと明かした。その意図として「ほんとに監督は一番いろんなこと考えてるんですよ。だから我々がこうした方がいい、ああした方がいいっていうのは一切言わなかった。監督がほんとに迷った時にどうだろうかと。だいたい監督の判断は完璧なんです。後押しするだけで。できることはそれだけだった」と振り返った。「栗山監督は村上が不調でも、彼を外すことは一切口にしなかった」といい、「周りのコーチからも外しませんか、替えませんかという声は一切上がらなかった。それは栗山監督がずっとそのスタンスで我々にも接していましたから」とコーチ陣も、栗山監督の村上への絶対的な信頼感を理解していた。

 大谷翔平(エンゼルス)や吉田正尚(レッドソックス)が村上に細かくアドバイスを送っている姿に「象徴的なシーンですけれど、全員がこういうスタンス。それぞれが何ができるんだろうと。試合に出られない選手もいるわけですけど、ベンチに座りながら勝利に貢献できることはなんだろうと。全員がリーダーシップを発揮しながら、役割をみんなが果たしていくような集団だった。(大会が進むにつれて)どんどん出来上がったんです」という。

 自走型のチームになっていったのは「監督の存在も大きいし、宮崎キャンプにダルビッシュ投手が最初から参加してくれましたよね。ダルビッシュ投手が一気に距離を縮めて、フラットな関係を作ったっていうところから、何を言っても大丈夫なんだっていう安心、安全な空間がチームにできてきた。そういう意味でダルビッシュ投手の貢献は大きいと思う。影のMVPはダルビッシュ投手」と称え、「これだけの選手が集まって、試合に出られる人、出られない人いるにも関わらず、不平不満は一切出なかった」。

 村上が準決勝・メキシコ戦サヨナラ打を放った際には、ベンチから全員が飛び出し、三塁コーチャーの白井コーチの後ろでぐるぐると腕を回すシーンが話題になった。「私の見せ場が来たなと思ってたんですけど、後ろに30人のランナーコーチャーがいましたので…私の仕事なんだけどなと思いながら」と苦笑しながら、「まさに一体感が表れていました。一応いろいろ考えてたんですけど、後ろの声がすごくて、ここはもう選択肢は一つしかないなと思った」と回想した。

 コメンテーターの長嶋一茂も「(打球が)フェンス直撃だから、クッション(の跳ね返りを)見て、返球を見て(走者を回すかを)判断するくらいですけどね…もちろんみんなプロだから、そこは(二塁走者の)周東君の足なら余裕でホームはセーフになるというのもわかって回してたと思うんですけど。白井さんだけは冷静だった。ちょっとちぐはぐだけど、それもまた面白かった」と指摘。白井コーチも「侍ジャパンを象徴してるのがこのシーンだった」とうなずいた。

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2023年3月28日のニュース