松坂大輔氏 侍まとめたダルビッシュの献身に感謝 日米ハイブリッドが今後の主流

[ 2023年3月28日 05:05 ]

優勝を決めダルビッシュ(中央左)と抱き合う大谷
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 スポニチ本紙評論家の松坂大輔氏(42)による月1回の連載コラム「松坂大輔の探球」。3月編は日本列島が世界一奪還に沸いたWBCについてで、2月の宮崎合宿から追い続けた侍ジャパン、そしてWBCへの思いをつづった。準決勝、決勝は現地の米マイアミで取材。あまりにもドラマチックな結末に感動し、チーム最年長のダルビッシュ有投手(36)の身を粉にしての献身ぶりに深く感謝した。

 人生で、これほど心が震える瞬間はあまりないでしょう。準決勝、決勝と信じられないような2日間。本場米国で、米国に勝つ。そして世界一――。長く歴史に語り継がれるであろう現場に立ち会えたことを、本当にうれしく思います。

 宮崎合宿から東京ドーム、そして米マイアミへ。約1カ月、侍ジャパンを追い続けました。14年ぶりの世界一は、ダルビッシュ投手の存在を抜きには語れません。優勝後のインタビューでは「ありがとうございました」と伝えました。合宿初日から合流して日本、そして世界の野球のために懸命に尽力。感謝の思いしかありません。

 今回の侍ジャパンの強さの一つが「結束力」。まとめ役となったのがチーム最年長のダルビッシュ投手です。09年WBCで自分も山田久志コーチから「頼んだぞ」と言われたことがあります。ただ正直、何をしていいか分からなかった。言葉で簡単に「まとまる」といっても実際は意外と時間がかかるものです。自分も経験しましたが、試合を重ねて徐々に一つになっていく。今回は結束するのが本当に早かったです。

 食事会などグラウンドの内外で投手だけでなく野手ともしっかりコミュニケーションを取り、チームの一丸ムードをつくり上げたダルビッシュ投手。限られた時間の中で自分の調整もしなければならない。本当に難しかったと思います。決勝の8回に登板。チームのために――。そんな思いを乗せたボールを見せてもらいました。

 もちろん大谷選手の投打にわたる活躍も素晴らしかった。緻密さが武器の日本の野球。そこに大谷選手、ダルビッシュ選手らメジャー組のダイナミックさが加わり、日本と米国のいい部分が組み合わされた「ハイブリッド」な野球が今後の主流になっていくかもしれません。侍ジャパンは、より隙のないチームになると思います。

 6年ぶりのWBC。自分は準決勝のメキシコ戦で始球式の機会をいただきました。その3日ほど前にオファーをもらい、光栄なことだと即、返事をしました。見上げると大観衆のスタジアム。今大会で野球の魅力がたくさんの人に伝わったと思いますし、非常に意義のある大会でした。チェコやイタリアなどヨーロッパ勢も活躍。次のWBCは3年後です。野球がさらに世界に広がり、野球をやっている選手の誰もが目指すべき、もっともっと大きな大会になってほしいと切に願います。(スポニチ本紙評論家)

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2023年3月28日のニュース