侍・栗山監督 世界一ナインへ「あなた方は野球界の伝道師」ミスター名言受け継ぎ“侍魂”未来へつなげる

[ 2023年3月28日 05:05 ]

揮毫した感謝の言葉を披露する栗山監督(撮影・尾崎 有希)
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 WBCで侍ジャパンを09年以来、14年ぶり3度目の優勝に導いた栗山英樹監督(61)が27日、都内の日本記者クラブで会見し、栄冠を勝ち取った選手らに「野球の伝道師」となることを願った。04年アテネ五輪の日本代表監督だった巨人・長嶋茂雄終身名誉監督(87)の教えを受け継ぎ、歓喜の世界一を野球界の未来へとつなげる。

 歓喜の余韻は、まだまだ覚めない。凱旋から4日。会見に臨む前、栗山監督は「夢は正夢」、「感謝」と揮毫(きごう)した。

 一昨年12月の就任時に「アメリカをやっつける」と宣言し、夢を正夢にした世界一。今なお続く侍フィーバーに「多くの人たちが野球を見て、興味を持ってくれた。感謝しかない」と頭を下げた。ただ、一過性であってはいけない。「フィーバーが続くか?」との問いに「そんな簡単ではない。ペナントレースで、それぞれが命懸けのプレーを続けてもらわないと」と言った。

 準決勝はメキシコにサヨナラ勝利を飾り、決勝は大谷が二刀流でフル回転して米国を撃破。まさに命懸けで世界一を奪還した。ファンはその姿に感動し歓喜した。栗山監督が侍の面々に伝えたのは責任感を持ち続けること。「“あなた方は野球界の伝道師なんです”と選手に伝えさせてもらった。我々が日本の野球を背負って伝えてくださいと」。これは04年アテネ五輪で当時の長嶋監督が選手に伝えた言葉。“侍魂”を所属チームに持ち帰り、グラウンドで表現することを願った。

 1次ラウンドは4番を任せたが不振で準々決勝から5番に下げた村上には、帰国の際に「宿題を持ったまま終わるよ」と伝えた。メジャーリーガーを超える強打者に成長してほしいと願う。村上は「次は必ず4番を打ちます」と答えたという。

 17年、メジャー移籍する大谷も同クラブで会見した。当時その姿を陰から見守った栗山監督が大谷とともに世界一となり、同じ場所で優勝会見。願ったのは“侍魂”でつなぐ日本野球の未来だった。(秋村 誠人)

 ▽長嶋監督の「野球伝道師」発言 04年のアテネ五輪代表監督に就任。メンバーの平均年齢が20代だったことについて「若い選手を多く選んだのは、(野球の)伝道師になってほしいと思ったから」とし「経験をチームに持ち帰って伝道師になってほしい。国際舞台を目指す子供たちの夢となるような」と語った。自身は04年3月に脳梗塞を発症。代行で指揮を執り、同年6月に最終メンバーを発表した中畑ヘッドコーチは「長嶋監督の意向に沿い、プロ野球の伝道師になってもらえる選手を選出した」と意思を引き継いだ。

 ≪エスコンは「世界No.1の球場」≫栗山監督は古巣の日本ハムの新球場「エスコンフィールド北海道」についても言及。WBCで準決勝と決勝を行ったローンデポ・パークに形状が似ているが「アメリカの全ての球場を見ても、世界No.1の球場」と断言した。先行開幕となる30日の楽天との開幕戦で歴代監督の一人として招待される予定で「ここが起点となって日本の球場がどんどん変わっていくはず」と願った。

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2023年3月28日のニュース