広陵の2年生エース・高尾 “強心臓”のルーツは「家族」 155球完投で13年ぶり8強導いた

[ 2023年3月28日 05:20 ]

第95回選抜高校野球大会第8日・3回戦   広陵3―2海星 ( 2023年3月27日    甲子園 )

<広陵・海星>力投する広陵・高尾(撮影・北條 貴史)
Photo By スポニチ

 3回戦3試合が行われた。広陵(広島)は海星(長崎)を3―2で下し、2010年以来13年ぶりの8強へ駒を進めた。2年生エースの高尾響が2失点完投勝利。同校の2年生投手では1948年の学制改革以降初となる選抜での同一大会2勝目を挙げた。28日の3回戦4試合でベスト8が出そろう。

 広陵・高尾は持ち前の強気を頼りに、マウンドに立ち続けた。「少し疲れたけど、気持ちで投げました」。球数は今大会最多の155球。被安打6、4与四球と我慢の投球ながら2失点完投し、先輩救援陣の肩を休めた。

 2回に味方の適時失策と適時打で2点を先制された。0―2の5回表終了時点で球数は99球。「これ以上点を取られないように気持ちを入れました」。6回以降は無安打6奪三振と流れを生み、7回の勝ち越し打を呼んだ。9回には、この日最速タイ142キロを計測。最後の1球まで、気迫をみなぎらせた。

 「試合前はドキドキしたけど、球場に入って吹っ切れた。緊張せずに投げられました」

 1年春の中国大会から背番号1を背負う。今年4月で就任34年となる中井哲之監督が指揮してきた中で「記憶にない」と明かす大抜てきだった。入学直後にエースを託した理由は「(ソフトバンク)有原よりも、(広島・野村)祐輔よりも、気持ちの強さが断然上だった」から。試合に敗れて泣いたことは、一度もない。「小学6年で弱気が原因で打たれた時に、この弱い気持ちに勝たないといけないと気付きました」と根性が身についた。

 強心臓のルーツは「家族」だ。5人兄弟の末っ子ながら、スポーツに励む兄4人が厳しく、甘えん坊にはなれなかった。右足を疲労骨折した昨秋には父・大輔さん(48)が言った。「せっかく背番号をいただけたのだから、もしも投げられると言うのであれば、痛み止めを飲んででも投げればいいんじゃない?」。令和には似合わない、泥くさい姿勢が聖地での完投にもつながった。

 「次は制球をまとめたいです」。どこか昭和の香りを漂わせる、ど根性エースらしく、次戦も投げる気満々だ。(河合 洋介)

 ◯…広陵の先発・高尾が2勝目。同校の2年生投手が選抜の同一大会で2勝を挙げるのは、1948年の学制改革以降では初。

 ◇高尾 響(たかお・ひびき)2006年(平18)5月22日生まれ、福岡県糟屋郡出身の16歳。粕屋東中では飯塚ボーイズに所属して投手兼二塁手。広陵では1年春の中国大会から背番号1。最速145キロ。持ち球はスライダー、カーブ、スプリット。50メートル走6秒3、遠投115メートル。1メートル72、72キロ。右投げ右打ち。

続きを表示

2023年3月28日のニュース