愛され侍・ヌートバー来日 あだ名の「たっちゃん」でナインと初対面 3日に大谷とともにチーム合流へ

[ 2023年3月3日 05:25 ]

名古屋市内の宿舎に到着し、さっそく侍ジャパンのユニホームに袖を通したヌートバー(NPBエンタープライズ提供)
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 第5回ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)に出場する侍ジャパンで日系選手で初めてメンバー入りしたカージナルスのラーズ・ヌートバー外野手(25)が2日、来日した。中日との壮行試合(バンテリンドーム)が行われる、3日にはエンゼルスの大谷翔平投手(28)とともにチームに合流する予定。ミドルネームが「タツジ」のため宿舎などでは「たっちゃん」と呼ばれるなど、早くも愛されキャラを発揮した。

 午前6時19分、母のルーツでもある日本に到着したヌートバーは長旅の疲れを上回る高揚感に包まれていた。高校までアメリカンフットボールの選手でもあった男は心境を「タッチダウンを決めた気分」と表現。8歳だった06年に米国に遠征してきた高校日本代表のボールボーイを務めて以来、日本代表入りを夢見てきた男は「母方の家族の誇りを背負っていきたい」と力を込めた。

 日系選手で初の侍ジャパン入り。来日前から話題を集めた男に早朝からファンが集まり、警備員が「離れてください!」と大声で制止する一幕もあった。そんな中でもファンとの2ショット撮影にも気軽に応じ、報道陣から覚えてきた日本語を要求されて「ヨロシクオネガイシマス!ガンバレ、ガンバレ!」と笑顔で語った。

 空港を出た日系侍は新幹線に飛び乗り、8時45分に名古屋駅に到着して宿舎に直行。いの一番に「JAPAN」のユニホームに袖を通した。時差ボケ解消を含めて体調面を整えるため、この日は全体練習に参加せず、大半の関係者と顔を合わせたのは、バンテリンドームでの全体練習を終えたチームが宿舎に戻ってから。「メジャーで通じるバッターが多い。メジャーと同等のレベル」と感じる同僚らとの初対面で、いきなりニックネームで呼ばれて驚かされた。

 そのニックネームは「たっちゃん」。ナインはミドルネームが久美子さんの父で祖父の達治さんに由来する「タツジ」であることから「愛称計画」を事前に進めていた。グラブにもローマ字で刺しゅうされ、日本の誇りと敬意が示されている名。投手陣は話し合いを行い、湯浅が「ヌートバーって言ったら罰金」と語るなど独自のルールもつくった。球界では巨人・原辰徳監督、元広島の達川光男氏、そして国民的野球漫画「タッチ」の上杉達也とも同じ愛称。一気にナインとの距離も縮むはずだ。

 外野の一角で期待されるヌートバーは、きょう3日から全体練習に参加し、6日の阪神との強化試合(京セラドーム)に出場する見込み。「緊張もしているし、楽しみでもある。現代のベーブ・ルース(大谷)からも学べる。優勝しかない」と目を輝かせる。09年の第2回大会以来、14年ぶりに世界一奪還を狙う侍ジャパンに、新たな“刀”が加わった。(神田 佑)

 ◇ラーズ・ヌートバー 1997年9月8日生まれ、カリフォルニア州エルセグンド出身の25歳。高校時代はアメリカンフットボールでQBとしても活躍。南カリフォルニア大から18年ドラフト8巡目(全体243番目)指名を受けカージナルスに入団。21年6月にメジャーデビュー。ミドルネームは「テイラー・タツジ」。1メートル90、95キロ。右投げ左打ち。

 【主な「たっちゃん」】☆上杉達也 あだち充氏の漫画「タッチ」の主人公。双子の弟・和也の遺志を継いで、エースとして甲子園出場を目指す。幼なじみの浅倉南も有名。

 ☆原辰徳 東海大から80年ドラフト1位で巨人入団。爽やかな風貌で人気を博し「若大将」の愛称が定着したが、昔なじみの先輩らからは「たっちゃん」と呼ばれた。

 ☆達川光男 広島の黄金期を支えた名捕手。軽妙な広島弁に加え、テレビ番組での珍プレー特集の常連としても有名。他に「タツ」「タツさん」などの愛称も持つ。

 ☆梅宮辰夫 「仁義なき戦い」や「不良番長」シリーズを代表作に持つ昭和の名優。19年12月に死去したが、晩年は釣りや料理にも精通し、自らプロデュースした「たっちゃん漬け」を販売するなどマルチに活躍。

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