広島・新井新監督 赤ヘル旋風再び!「ワクワクするチームに」伝統の機動力復活&育成のカープ継承誓った

[ 2022年10月13日 05:00 ]

<広島>会見の席に着く新井新監督 (撮影・奥 調)
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 広島の新監督に就任した新井貴浩氏(45=スポニチ本紙評論家)が12日にマツダスタジアムで会見し、伝統の機動力を生かした躍動感あふれるチーム像を掲げるなど所信表明した。形式上は推定年俸7000万円の単年契約ながら球団からは長期的な指揮を期待され、若手の底上げなど喫緊の課題を挙げて現役を引退した18年以来のV奪還を期した。

 次々と新たな戦力が台頭し、グラウンドを駆け回る――。新監督として思い浮かべたのは、躍動感ある攻撃に本拠地マツダスタジアムが熱狂して揺れる光景だ。新井氏が目指していく赤ヘルの姿を言葉にした。

 「強いチームは当然ですけど、ファンの方々が見ていてワクワクするチームにしたい」

 佐々岡前監督が球団に辞意を伝えた数日後に就任要請を受けた。「正直驚きました。一度カープを出て、それでもまた球団の方に戻ってこいと言っていただき、3連覇もさせていただいた。球団には大きな恩がある。私には(断る)選択肢がなかったです」。涙のFA宣言、古巣復帰、リーグ3連覇――。そして次は監督として新たな物語が始まる。

 理想のチーム像を明確に描いた。「カープの伝統はグラウンドを走り回る野球。足が速い遅い、盗塁ができる、できないではない。打つ方と走る方の両方で相手にプレッシャーをかけられるチームにしたい」。今季は球団ワーストを更新する26盗塁。伝統の機動力を取り戻すことを第一歩に位置づけた。

 “育成のカープ”も継承していく伝統だ。坂倉、小園がレギュラーをつかんだ一方、中村奨、林ら若手の伸び悩みが低迷の一因。「まずは若手の底上げ、力をつけさせることが大切になる。寝ていてはうまくならない。たっぷり汗をかいてもらう」。ドラフト6位入団の自らが体験したことだ。「若手だけでは勝てない。何事においてもバランスを大切にしたい」とも付け加えた。リーグ3連覇時の主力には奮起を促し、次世代の育成にも取り組む難題を自覚した。

 「カープのために何がベストなのか。何年ユニホームを着ているか分からないが、1年単位ではなく、中長期的なビジョンを頭に入れてやっていきたい」

 現役を引退した18年を最後に遠ざかるリーグ優勝。「ファンの方が見ていて熱くなる、心が燃えるような野球をしたい」。確かな野球観に加え、人気も兼ね備える若き指揮官。3連覇時のような赤ヘル旋風再びに期待が膨らむ。(河合 洋介)

 ◇新井 貴浩(あらい・たかひろ)1977年(昭52)1月30日生まれ、広島県出身の45歳。広島工、駒大を経て98年ドラフト6位で広島入団。08年にFAで阪神移籍。15年から広島に復帰。リーグ3連覇の18年限りで引退した。通算2383試合、打率.278、319本塁打、1303打点、43盗塁。05年本塁打王、11年打点王。16年セ・リーグMVP。08年12月から12年12月まで労組日本プロ野球選手会の第7代会長を務めた。引退後は19年からスポニチ評論家。右投げ右打ち。

≪ドラフト会議のくじ引き決定≫ 新井氏が新監督として20日のドラフト会議に出席することが決まった。1位指名が競合した場合は、くじ引きを担当することも決定。「競合しないことを祈っています」と苦笑いした。きょう13日のスカウト会議で1位指名する選手を話し合う方針。補強点について「やっぱり投手は何人いてもいい。ただ、カープは育成して強くしていく伝統もある。若い選手を獲って育てないといけないし、バランスよく…となるのではないか」と見通しを明かした。

≪組閣は今月中に≫ 鈴木清明球団本部長は組閣について「リストアップした中から誰にするかを考えている。今月中に決まればいい」と11月の秋季キャンプ前に決定する方針を明かした。新井氏とは単年で正式契約。「1、2年のんびりして…という考えは(球団には)ない。初年度から優勝を目指してやってくれるとは思うけど、(新井氏の考えには)中長期的に選手を育てながら勝っていく視点もあると思う」と長期政権を後押ししていく構えだ。

≪運転手名乗り!?金本氏から仰天メール≫ 新井氏が監督就任を真っ先に報告したのは現役時代に監督として師事した山本浩二氏だ。「大変じゃけど頑張れよ、何かあったら相談に乗るから…と言っていただきました」。兄貴分の金本知憲氏からは激励と同時にビックリ仰天の申し出?があったという。「私は無事故無違反なので、安心して後部座席に乗っていただけます…とメールが来た。危なくて乗れないので、丁重にお断りしました」と報道陣の大爆笑を誘った。

≪佐々岡前監督の若手起用に感謝≫ 新井氏が佐々岡前監督の功績を強調した。前監督が退任会見で「(チームに残せたものは)自分の中ではないかな」と発言したことに触れ、「そんなことはない。森下、栗林を獲り、中継ぎ投手など若い選手をたくさん起用した。まだ花は咲いていないかもしれないけど、若い芽を出そうとしてくれた」と感謝。「あとは自分がしっかりと花を咲かせられるようにしたい」と思いを引き継ぎ、育成を進める決意を示した。

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2022年10月13日のニュース