有藤通世氏 「点を取られないエース」オリックス・由伸が自軍の攻撃にも好影響与えている

[ 2022年10月13日 07:00 ]

パCSファイナルステージ第1戦   オリックス5ー0ソフトバンク ( 2022年10月12日    京セラD )

<オ・ソ>ヒーローインタビューで笑顔(左から)山本、杉本、吉田正(撮影・井垣 忠夫)
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 【有藤通世視点】これぞエース。山本が試合を支配した。柳田のファーストSのホームランは、2発とも真ん中から内角寄りの変化球をうまく拾ってスタンドまで運んだもの。山本の頭にはそのイメージがあったはずだ。だからこそ内角への直球で真っ向勝負した。

 第1打席は内角直球で空振り三振。4回の第2打席の初球も内角へ152キロの直球。ボール一つ分外れたが、柳田は軸足が動いて腰を引くような形になった。2球目は156キロ。3球目も151キロ。結果は二直も打球に力はなかった。柳田は平野佳に代わった第4打席でも内角を攻められ最後は外角直球で見逃し三振。山本の内角攻めが打撃を完全に狂わせたといっていい。

 “点を取られないエース”は自軍の攻撃スタイルに好影響を与えている。1、2点を取れば勝てると分かっているオリックス打線はボールを振らない。四球を重ねてチャンスをつくり、押し出しで3得点。レギュラーシーズンで引っ張りの意識が強すぎたように見えた杉本も、1点を取るためにコンパクトなスイングに徹していた。だから押し出し四球も取れたし右方向へのタイムリーも出た。吉田正に1発も出て、これ以上ない展開だった。

 一方のソフトバンクは柳田が山本に封じ込まれ沈黙。投手陣は野手の闘争心をそぐような四球を連発。CSファイナルの流れはオリックスに大きく傾いた。 (本紙評論家)

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