【砂村光信・視点(2)】今季加入の司令塔モウンガがBL東京を変えた チーム内にも好影響

[ 2024年5月26日 21:06 ]

ラグビーリーグワン1部プレーオフトーナメント決勝   BL東京 24―20 埼玉 ( 2024年5月26日    東京・国立競技場 )

<埼玉・BL東京>前半、ナイカブラのトライのコンバージョンキックを決めるモウンガ(撮影・篠原岳夫)
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 決勝でのBL東京の勝因はディフェンス力だ。ファーストタックラーと2番目以降の選手が強く速く前へ出て、埼玉の選手やボールを押し下げ、テンポをつくらせなかった。準決勝の東京SG戦もそうだったが、シーズンが進むにつれてディフェンスのぶ厚さ、強さがより精度を増していた。

 FW育成には以前から定評があったが、昨季からはFW第1列のレギュラーを木村、原田、小鍛治と3人の若手に切り替えた。その若手たちが決勝の大舞台でも、経験抱負で層も厚い埼玉の第1列相手に躍動していたのが印象的だ。そして、今季のBL東京はニュージーランド代表SOのモウンガ加入でチームがガラリと変わった。裏へのショートキックなどキックの巧みさはもちろん、パスも非常に正確でアタッキングラグビーに欠かせない存在となった。ディフェンスも危機管理能力が高く、シーズンを通して相手に抜かれたのを見たのは1回ぐらいだった。

 驚かされたのは、家族の不幸でモウンガが一時帰国した際、代わりにSOを務めた松永が遜色ないプレーを見せていたこと。神戸製鋼が復活優勝したときは同じくオールブラックスの司令塔ダン・カーターの存在感が大きかったが、モウンガがチームに与えている影響力は、BL東京にとって将来への貴重なレガシーとなるのではないか。

 引退する埼玉のフッカー堀江は最後を飾れずに残念だったが、小柄ながら能力の高いNO・8が世界との戦いを見据えてフッカーへコンバートされる流れをつくった選手と言える。パスもキックもできるNO・8の器用さを併せ持った、新たなフッカーの魅力を伝えてくれた功績は大きい。引退後は個人的に師事してきたトレーナーのトレーニングをチームに伝えていきたいという。ケガ人を早く復帰させることができる新しいタイプのコーチとして、ラグビー界の発展に貢献してくれることを期待している。
(元U―23日本代表監督)

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