池江璃花子、東京五輪内定!白血病公表から2年2カ月…涙の優勝「今凄く幸せ」

[ 2021年4月5日 05:30 ]

競泳日本選手権兼東京五輪代表選考会第2日 ( 2021年4月4日    東京アクアティクスセンター )

競泳日本選手権兼東京五輪代表選考会第2日、女子100メートルバタフライ決勝、優勝を果たし感極まる池江(撮影・会津 智海)
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 白血病から復帰した池江璃花子(20=ルネサンス)が東京五輪切符を手にした。女子100メートルバタフライ決勝に出場し、57秒77で3年ぶりに優勝。女子400メートルメドレーリレーの派遣標準記録(57秒92)を突破して、16年リオデジャネイロ五輪に続く2大会連続の五輪代表に内定した。昨年8月のレース復帰からわずか7カ月余りで、18年世界ランクで1位だった本命種目の王座を奪還。24年パリ五輪でのメダル獲得を目標に掲げる中、一度は諦めた夢を実現した。

 目頭を押さえ、しばらくプールから上がれなかった。池江は電光掲示板に目をやり最初に順位の「1」を確認。直後にタイムに視線を移すと「57秒77」と刻まれていた。一度は諦めた東京五輪切符を手にし「びっくりして何が起こっているか分からなかった」と頭が真っ白に。水から上がると再び涙し「自分が勝てるのはずっと先だと思っていたが、努力は必ず報われるんだと思った。今凄く幸せ」と実感を込めた。

 入場の際に「ただいま」と小さくつぶやいた。レースでは前日の予選、準決勝で合わなかったターンのタッチを、ドルフィンキックの回数を変えることで修正。前半50メートルを2位で折り返し、75メートル付近でトップに立った。ラスト15メートルで隣のレーンを泳ぐ長谷川の猛追を確認し「追いつかれると思った」。力を振り絞ってキックを打ち0秒41差で逃げ切り、準決勝から0秒71もタイムを上げた。レース後には約1時間かけて入念にクールダウン。残る50、100メートル自由形、50メートルバタフライに備える姿からは2冠、3冠さえも予感させた。

 19年2月に白血病を公表。抗がん剤治療の際は一日に何度も吐いた。食欲が全くない時期もあり、体重は一時15キロ以上も減少。同12月の退院直後は歩くだけで呼吸が乱れた。懸垂は一回もできず、幼少時代に遊んだ雲梯(うんてい)にもぶら下がるのがやっとだったが、昨年8月に594日ぶりにレース復帰すると、泳ぐたびに記録を更新。昨年は体調を考慮してやらなかった1日2度の練習を今年に入ってからの合宿では週1回のペースでこなせるようになった。

 100メートルバタフライはリオ五輪で5位に入った本命種目。57秒77のタイムは日本記録の自己ベスト56秒08には遠いが、5年前の五輪代表選考会で出した57秒71に肉薄する。「(肉体的な負担が大きく)一番戻るのに時間がかかると思っていた種目。世界と戦えるタイムではないので、さらに高みを目指したい」。リレーの代表権を得たことで、本番では出場枠に空きのある個人種目にも出場できる可能性が高い。

 自宅の壁には、病気判明前に目標を書いた紙が貼られたままになっている。「東京2020で世界記録!」。五輪が延期にならなければ、実現しなかったシナリオ。24年パリ五輪を大目標とする物語は次なる章へ突入する。

 ◆池江 璃花子(いけえ・りかこ)2000年(平12)7月4日生まれ、東京都出身の20歳。東京・淑徳巣鴨高―日大3年。16年リオデジャネイロ五輪は女子100メートルバタフライで5位。18年アジア大会6冠。19年2月に白血病を公表。闘病生活を経て、20年8月に実戦復帰した。1メートル71、55キロ。

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