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13キロ ハクレン幻の日本新 コロナ下理由に認定活動休止中…

[ 2021年7月18日 14:02 ]

筆者が釣ったソウギョは巨大。幻の日本記録となった
Photo By スポニチ

 【奥山文弥の釣遊録】世界記録のソウギョを求め、“坂東太郎”こと利根川に私のソウギョマスター・市川満さんとともに通っています。

 釣行した日は雨天予報だったため、午前7時半釣り開始でした。前回までと様子が違うのは、レンギョと呼ばれるハクレンの跳ねが多かったことです。まるでサケの遡上(そじょう)のように水面に顔を出すロールも頻繁に見られました。

 仕掛けは2人で4本投入しました。ロッドはがまかつ「がま磯4号―53」を中心に、超巨大魚を意識して今回から沖縄スペシャルのタマン専用ロッドも導入しました。リールはデュエル「12スピーディー」。このリールはもともと12ポンドラインでカジキを釣るために作られたものです。ドラグのセット値が3時間ファイトした後でも変わらないという精密さですが、今は廃盤になりました。カジキを12ポンドでやろうとする人がいったい何人いることでしょう。

 市川さんはそんな人の一人で、このリールの性能の良さを実感しています。昨年はこのリールを使って2ポンドライン(約0・6号)で20・2キロという巨大なソウギョを釣って釣りのギネス、IGFA(国際ゲームフィッシュ協会)公認の世界記録に公認されました。

 私が使っているラインはサンライン「磯スペシャル」8ポンド(約2号)です。これで22キロ以上を釣れば世界記録になります。なかなか釣れるものではありません。

 しかしここは“坂東太郎”、噂では165センチのソウギョが釣れたという実績があるらしいのです。仕掛けを投入し、待つこと2時間、ロッドが竿立てを倒し、地面にばたんと倒れました。急いで駆け寄り、ロッドを持つと、すでに重みがありませんでした。置き竿なのに合わせ切れ?ドラグをチェックすると切れるほどの強度ではありません。竿掛けの受けの部分にこすれた?高切れしていました。

 仕掛けを作り直して再投入しようとした直後でした。残りの3本のうち1本が大きくしなっています。

 すぐにロッドを取るとグーンと重くなりました。ヒットです。

 その魚はとても重く、川底に張り付くように抵抗しています。水面に姿を現したのは、なんとハクレンでした。ファールフックではなく口にハリが刺さってます。

 測ってみると1メートルに3センチ足りない全長97センチ。しかし重さが13キロもありました。これまでの日本記録が9・38キロなので日本記録更新というサイズでした。

 しかし日本記録を公式認定するJGFA(ジャパンゲームフィッシュ協会)は現在コロナ下を理由に記録認定活動を休止しています。故にこの魚は幻の日本記録ということになります。

 なぜJGFAは記録申請を受けないのでしょうか?公式サイトによると「コロナ下なのでまだ釣りを自粛しなさい」ということらしいです。緊急事態宣言が再び発令され、ワクチン接種も始まっている中で、コロナと向き合い、スポーツ観戦(野球、サッカー、相撲など)では観客を受け入れている今日です。空気感染するかもしれないと無知識だった昨年4月とは違います。いろいろもめているけどオリンピックも行われます。

 せめて「緊急事態宣言発令都県でのみ、釣りを自粛ください」程度にしておけばいいのにと、多くの会員が怒っていることでしょう。「いい釣りをいつまでも」というスローガンを掲げている団体ですが、これでは今まで公認された日本記録の重みも小さくなってしまいそうな気がします。

 そんな思いでこのハクレンをリリースし、「こんなデカい魚は二度とヒットしないだろうな」としみじみ思いました。(東京海洋大学客員教授)

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