未来へ続くニジマスのリリース 外来種の枠超え成長できる環境求む

[ 2021年1月3日 07:33 ]

フライでニジマスを連発し、大喜びの豊島さんと筆者
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 【奥山文弥の釣遊録】咋年末、SNSに昔、カナダで釣ったスティールヘッド(降海型ニジマス)の写真を載せたら「日本でもこういう夢のような魚の可能性はあるのでしょうか」という話題提供をしてくれた人がいました。日本には大きな魚が育つだけの環境があるのかということなのですが、環境はあっても釣ったら殺して食べるという考え、持って帰るために釣るという考えがなくならなければ難しいと思います。

 例えば60センチを釣りたければ59センチの魚はリリースすべきだし、70センチを釣りたかったら69センチはリリースするべきなのです。リリースも適当に扱い逃がすのではなく、生き延びていけるように放さなければなりません。

 カナダではスティールヘッドを水から出すことを禁止している川も多くあります。アングラーが水の中に入って抱えて写真を撮るのはOKだけど、生きたままでも岸の上ではダメというルールです。そしてみんなが守ることで、大きく育つ魚が維持されるのです。

 水産資源は食糧として魚を取る、飼育することだけではなく諸外国のように自然環境で魚が育つことも重要視すべきです。特に内水面はそうなるべきです。

 話は変わって、農水省で発信するyouTubeチャンネル「BUZZ MAFF」では来年早々から水産庁プロデュースの動画が配信されることになりました。

 漁業関係の啓蒙(けいもう)かと思ったら、第1回目はなんと釣りだそうです。撮影は暮れも近いころ、東京・あきる野市の「秋川国際マス釣り場」ルアーフライエリアで行われました。集まったのは初代釣り人専門官の桜井政和さん、現職で9代目の小川一人さん。そして水産庁期待の新人の山地智司さん、紅一点の豊嶋綾香さん。そしてありがたいことに私も声を掛けていただきました。

 動画の内容は配信されたものを見ていただくとして、桜井さんは凄腕のフライフィッシャーマンでもあり、小川さんはルアーマン。新人2人は私のレンタル道具でほぼ初心者でした。それでもニジマスを釣り上げ「楽しい!」と言いながら夢中になっていました。こんな小さな魚が大人を感動させるのだと見直すほどでした。

 秋川漁協の安永勝昭組合長、場長の峰岸秀雄さんも現場を見にきてくれていたので、私は釣りとは別に即席でのフライキャスティングのデモを行い、フライフィッシングはだから面白いということをアピールさせていただきました。

 桜井さんは現職の時、東京海洋大のフィッシングカレッジ第1回目の講義をしていただきました、その時に「いい年をとった男が前夜に眠れなくなるほどワクワクするような遊びは釣りを除いてはあり得ない」と言っていたのを思い出します。

 たまたまスティールヘッドと秋川のニジマスが重なり、今回の記事を書いたわけですが、外来魚という枠を乗り越え、全ての川にとは言いませんが、ニジマスが成長できる環境が欲しいものです。養殖だから、放流魚だからと釣ったら全て持ち帰るような文化を私は否定したいです。

 リリースして成長すれば3カ月で元の素敵な体形に戻ります。あなた一人の魚ではなく、後から来る人のためにも、そして将来のあなたのためにも、川に魚を残すという考え方は必要です。(東京海洋大学客員教授)

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