夢は全国1万人声掛け運動 今季はコロナ禍で断念…来年こそ

[ 2020年10月5日 07:19 ]

河原でアユ仲間ととる昼食は格別(左から2番目が筆者)
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 【100歳超えても釣りたい】御年96歳のスポニチAPCで、現役釣り師の太田宗家さん。今季はコロナ禍で大好きなアユ釣りにも行けなかった。残念無念の思いのたけをつづる。そして「来年こそは」の夢を胸に秘めている。

 釣り欄を見ていると同じ魚でも新しい、いろいろな釣り方が登場する。やってみたい気持ちはあるが足腰が弱ってきた今は無理。海釣りでは船着き場から船へ乗り移るのがダメ。渓流も苦しい。今できるのはアユ釣りだけだ。

 アユ釣りは川へ腰まで入って…と思われがちだが場所を選べば楽な釣りもできる。

 川辺に椅子を置いたり、手頃な石に腰掛けて7・5メートルの竿で泳がせれば結構、楽しめる。狙った石周りへオトリが届いた途端にガツン。竿を立て、徐々に手元まで寄せて抜き取る。「ヤッター!」大声を出したくなるような気持ち。若い頃のように20、30匹は無理でも時には“ツ”が抜けることがある。この楽しさが長生きの理由の一つでもあろうか。

 でも喜んでばかりもいられない。どこの川へ行っても釣り人はほとんど年配者ばかり。若い人を探すのに苦労するほど。

 アユ釣りはやってみたいが道具が高過ぎて、というのが一番の理由のよう。確かに竿1本が15~30万円、他に7つ道具をそろえればかなりの額になる。おいそれと手が出ないのも無理はない。といっても放っておけば釣り人は減るばかり。漁協は入漁料やオトリ代が入らず苦戦。放流を減らすことになる。釣り具業界だって高みの見物というわけにはいかない。

 それで数年前から多少でも釣り人を増やそうと周りの若い人や孫、その仲間たちに「道具一切をそろえて貸すから」と声掛け運動を続けている。「やりたいが…」と言いながら他に趣味があるようでなかなか成果が出なかった。

 それが今シーズンから4人が手を挙げてくれた。1人は筆者が世話になっている介護施設の施設長。32歳で渓流や防波堤釣りの経験者。あと3人は筆者が50年以上通い続けている福島県会津の伊南川の旅館「住吉屋」当主の孫とその仲間。いずれも中学1年生。ニジマスやコイを釣ったことがあり、たくさんの釣り人を見ているので「ぜひとも弟子に」と応じてくれた。

 ところが今度のコロナ騒ぎ。近くの散歩、通る道も制限されるほど。少年たちも実家の旅館が遠出の釣り人を泊めないようにしているから見送るしかない。メーカーから頂いたキャップや仕掛けを用意し、一部は渡してあるので残念でならない。

 多少、年季が入った釣り人なら現在、使っていない竿の1本や2本はあるはず。皆がその気になって声掛け運動を続ければ効果はあるはず。100人でやれば30~40人は期待していいのでは。全国1万人でやれば、と夢は膨らむ。

 アユ釣りシーズンが終わっても声掛けは年間を通じてできる。これまでの経験だと、大方のアユ釣り師は1シーズン貸し道具で過ごしても、次の年からは多少無理をしても自分の道具を欲しがるものだ。釣り具業界もこんなところを見て協力してほしいものだ。

 ◆太田 宗家(おおた・そうけ)本名・勉(つとむ)。1924年(大13)7月1日生まれ、静岡県浜松市出身。53年、毎日新聞浜松支局特約通信員。57年、毎日新聞社に入社し64年から同学芸部で釣り欄、レジャー面の取材・編集を担当。76年の定年後も2009年まで特別属託として釣り面を担当。スポニチAPCは69年から。

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