演劇評論家・犬丸治氏 猿之助容疑者の逮捕は「歌舞伎の羅針盤がなくなる」名跡は…

[ 2023年6月27日 18:46 ]

 演劇評論家の犬丸治氏が27日、MBSテレビ「よんチャンTV」にリモート出演。歌舞伎俳優・市川猿之助容疑者(47)が母親の自殺を手助けしたとして、警視庁に自殺ほう助容疑で逮捕されたことにコメントした。

 猿之助容疑者は5月18日、自宅の半地下で意識がもうろうとした状態で倒れているのが発見され、2階のリビングで仰向けで倒れていた歌舞伎俳優で父の市川段四郎さん(76)と母の喜熨斗(きのし)延子さん(75)はいずれも死亡が確認された。段四郎さんは2012年に病気をして以来、歌舞伎の舞台から遠ざかっていた。自宅で療養を続けていたとみられ、延子さんが看病していた。警視庁は今後、段四郎さんの死についても捜査を進める。

 犬丸氏は「猿之助の休演が確か10月までということで、それ以降のこともこれからどういう配役で歌舞伎をやるか練り直さないといけない。歌舞伎の勧進元である松竹は大変な作業が待っていると思います」とした。

 その上で逮捕については「当然のことながら1カ月間、覚悟はしてました。ただ、こうやって“市川猿之助容疑者”と我々の前に突き付けられますと、恐らく歌舞伎界の最大の危機と言ってもいいと思う」と言及。「猿之助という人が今の歌舞伎における位置、中堅で働き盛りでお客が呼べて、しかも頭脳明晰、シャープ、人望もあって本当に中堅の働きどころの彼が恐らくこの状態でいけば長期不在を余儀なくされる。これからの歌舞伎の羅針盤がなくなるってことになると思います。これはちょっと深刻です」と猿之助不在の歌舞伎界を心配した。

 そして、猿之助の名跡について今後、市川團子が継ぐかについて「團子が代役をして、きらめきある舞台を見せた。それだけの集中力はあるけど、まだまだ未知数なんですよね。團子の将来を見据えて、育てないといけない。将来的には團子という名は猿之助の幼名ですから、團子が5代目の猿之助を継ぐというのは規定路線なんですよ」と説明。「後は父の中車、古参の弟子たちが集まって團子を盛り立てて集団指導体制を作って行くことしかないです」とした。

また、猿之助容疑者が歌舞伎の新たな道を模索し尽力してきたスーパー歌舞伎などの今後について「スーパー歌舞伎含め、猿之助歌舞伎含め、3代目猿之助が始めた新しい歌舞伎なんです。これが半世紀。すっかり歌舞伎のレパートリーとして定着して、遺伝子が菊之助が演じたファイナルファンタジーとか、来年予定されている鬼滅の刃とか、新しい歌舞伎に息づいているんですね」とし、だからこそ「スーパー歌舞伎は絶対絶つべきではない。絶ってはならない」と力説。そのためにも「中車もそうですし、代役した中村隼人、他の一門から中堅どころがやってきて助演するということで澤瀉屋を助けることでやっていくんじゃないでしょうかね」とした。

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