葉山奨之 伊原六花と相撲シーン 「気を使った」

[ 2022年11月23日 07:56 ]

ドラマ「シコふんじゃった!」で亮太を演じる葉山奨之(C)2022 Disney
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 【牧 元一の孤人焦点】ディズニープラスで配信中のドラマ「シコふんじゃった!」(周防正行総監督、全10話)に主演した俳優・葉山奨之(26)がこの作品への思いを明かした。

 「僕にとって、これほど『一生懸命』という4文字が合う作品はありません。いろんなものを背負って、とにかく出し切ったので、達成感が強いです。自信を持てる代表作になりました」

 作品は1992年にヒットした映画「シコふんじゃった。」(本木雅弘主演)の続編。同作はブルーリボン賞作品賞や日本アカデミー賞最優秀作品賞などを受賞するなど評価が高かった。

 「監督、プロデューサーに『見てください』と言われたんですけど、あえて見ませんでした。僕はプレッシャーに弱いタイプなので、それを感じるとベストなパフォーマンスができなくなると思ったんです。30年前の作品の続きではなく、新しいものにしようと心がけました」

 新たな物語は前作の30年後、廃部寸前の大学相撲部が舞台。葉山は単位と引き換えに相撲を始める大学生・亮太を演じた。

 「相撲の稽古は今年2月くらいに、土俵のある都内の施設で、雪の降る日から始めました。基礎の四股、すり足、股割り、鉄砲から習ったんですけど、僕はあまりスポーツをやって来なかったので、初日から大変さを思い知らされました。特に難しかったのは四股で、最初は振り子のようになってしまって、重心が崩れてしまいました。太ももの後ろの筋肉が痛くなるのはきれいな四股を踏めている証拠だと教えてもらったんですけど、練習を始めてから1週間くらいは太ももの前の方や股関節が痛くなりました。稽古は2カ月間、しっかり続けました」

 作品は伊原六花(23)とのダブル主演。伊原は女性ながらたった1人で相撲部を支えてきた大学生・穂香を演じ、亮太と相撲を取る場面がある。

 「六花ちゃんはダンスをやっていたので、稽古の時から体の使い方がとても上手だと思っていました。四股で足を上げている滞空時間が他の出演者の2倍くらいあって、スタッフさんを含めてみんなが『凄い』と言っていました。2人で相撲を取るシーンは気を使いました。土俵で動くと汗をかくので、とにかく臭くならないように常に汗をふいていました。初めて相撲を取る亮太は穂香に負けなければいけないんですけど、ある取材の時に『僕が本気でやったら勝つと思う』と言ったら六花ちゃんは『そんなことはない』と言っていました。確かに、相撲は体格で劣っていても勝てる競技で、大相撲を見ていても体重が2倍くらいある相手に勝つ力士がいます。六花ちゃんはそういうテクニックを持っていると思います」

 この作品は亮太の成長物語でもある。最初は肉体的にも精神的にも弱々しかった彼が徐々に強くなり、周囲を引っ張って行くようになるのが見どころの一つだ。

 「クランクインの段階で、台本が2話くらいまでしかありませんでした。でも、それが僕にとって良かったんです。物語が最後まで分かってしまっていると、どうしてもゴールに向けてのお芝居、限られた範囲内でのお芝居になってしまいます。先がどうなるのか分からないまま、その場で本当に感じたことをお芝居に表せたので、ありがたかったです。僕自身が実際に部活をやって来たような気持ちになって、最終話の相撲のシーンは、お芝居というより、その場で本当に生まれたものになりました。見ていたスタッフさんの中にも泣いていた人がいたそうです」

 ドラマは世界配信。日本だけではなく海外でも視聴されている。

 「今後、いろんな国の人たちと一緒に作品を作れるような出会いができたらいいと思っています」

 役者として海外進出を見据えた言葉に今作への自信が表れていた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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2022年11月23日のニュース