西野七瀬 WOWOWドラマで銀行員役 「真面目要素を意識した」

[ 2022年10月6日 08:00 ]

ドラマ「シャイロックの子供たち」で北川愛理役を演じる西野七瀬(C)WOWOW
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 【牧 元一の孤人焦点】俳優の西野七瀬(28)が9日にスタートするWOWOWのドラマ「シャイロックの子供たち」(日曜後10・00)に、銀行員・北川愛理役で出演する。

 ドラマは作家の池井戸潤氏の小説を原作とするミステリー。愛理の上司の西木雅博(井ノ原快彦)が支店内で起きた紛失事件の真犯人を追うが、ある日突然、失跡する。

 愛理は家族を支えるため給料の半分を家計に入れている女性で、その真面目でまっすぐな雰囲気が西野への「当て書き」のようにも見える。

 インタビューに応じた西野は「自分では、そういう感じじゃないと思っているので、そういう人に見えるように、真面目要素を意識して演じました。愛理はとてもしっかり者で、おうちにちゃんとお金を入れていて、さらに上を目指すために勉強もしていて、凄く偉い子という印象があります。仕事もできるし、後輩もかわいがってるし、彼氏もいる…。充実してますね」と笑う。

 上司の西木を演じる井ノ原快彦とは初共演。失跡した西木の行方を探る上で愛理は重要な役割を担うことになる。

 「井ノ原さんはとても明るくて、素敵な方でした。撮影の合間にYouTubeで見た動物の動画の話をしたり自分が体験した虫のエピソードを話したりして現場を盛り上げてくださいました。愛理は思った以上に大事な役だったので、少しプレッシャーもありました。愛理は一緒にいる人によって心理状況が違うので、どう変化するのか、見ていただけると、うれしいです」

 最近は舞台「月影花之丞大逆転」での「ワケありの元トップ俳優」、映画「孤狼の血 LEVEL2」での「スタンドのママ」など難役に挑んできた。特に「孤狼の血」では、第45回日本アカデミー賞の優秀助演女優賞と新人俳優賞を受賞し、俳優としての一里塚になった。

 「受賞は本当にラッキーでした。あの場に行くことができて、いい思い出になりました。発表の後、いろんな方から連絡をいただいたので、やはり凄いことなんだと思って、なんか不思議な感じでした。作品自体を評価していただいたので、うれしかったです」

 乃木坂46在籍中に初めて演技の仕事を始めてから約10年。グループを約4年前に卒業して本格的に芝居に取り組むようになって変化もあった。

 「お芝居のことを考える時間が増えました。普段、生活をしている時、自分も含めて人のささいなしぐさやリアクションを観察するようになりました。話している時の視線や手の動きを見て『こういう時は、こういう動きをするのか』と思うんです。それをいつ生かせるかは分からないんですけど、お芝居をしていると自然に動ける時もあれば固まってしまう時もあるので、どこかで生かせればいいな、と思っています。作品の見方も変わりました。以前はただ作品を見ていましたけど、今はいろんなところを気にしながら見るようになりました。役者さんが作品によってどう演じ分けているのかも見ています」

 乃木坂46は既に遠い存在になったのかもしれない。

 「今年の夏、神宮球場でコンサートが行われた日、たまたま車で通りがかったんです。たくさん人が並んでいて、いろんな年齢層の人がいて、グッズをつけた人や遠征して来たような人もいて、『乃木坂、凄い!』と思いました。自分がそのグループにいたという感覚があまりなくて、なんか人ごとみたいな感覚で見ていました。現役の時は踊りを忘れて困っているような悪夢もしょっちゅう見ていたんですけど、今は見なくなりました。あの時も楽しかったし、今も違う楽しさがあります。かなり充実しているので」

 最近、私生活で熱中しているのが「謎解き・脱出ゲーム」。約2年前から余暇を利用して挑んでいるという。

 「今日も行って来ました。毎回違うので、今回はどんな仕かけなんだろう?とワクワクするし、謎を解く喜びがあります。脱出できないと、本当に悔しいです。できないことの方が多いんですけど、奥が深くて、めちゃくちゃはまってます。今、外出するのは、それくらいです」

 そのリフレッシュ効果は仕事に生きているようだ。

 「会った人によく『たくさん出ているから忙しいでしょう?』と言っていただくんですけど、自分としては、いいペースでやっている感じです。はっきりした目標があるわけではないので、これからも今くらいのペースでやっていければいいかな、と思っています」

 気負いを全く感じさせないたたずまいに、役者としての確固たる歩みを感じた。

 ◆牧 元一(まき・もとかず) 編集局総合コンテンツ部専門委員。テレビやラジオ、映画、音楽などを担当。

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