コロナ時代に偶然マッチ 旅しない旅番組「妄想トレイン」プロデューサーが語る妄想旅の魅力

[ 2020年9月6日 09:00 ]

「友近・礼二の妄想トレイン」でメインMCを務める、友近(左)、中川家・礼二
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 コロナ禍の中、新しい形の旅番組が誕生した。BS日テレで放送中の「友近・礼二の妄想トレイン」(月曜後9・00)は、タイトルからも想像できるように「旅をしない旅番組」。鉄道をベースに、時刻表や知識を頼りに妄想の旅を組み立てるアナログ感が、新型コロナウイルスの影響で旅をしづらくなった現代にマッチした。制作意図や収録裏話を、菊地武プロデューサーに聞いた。

 番組ではまず、スタート地点から目的地を決定。その移動手段、魅力的な途中停車駅、もちろん乗る電車まで、出演者たちの合議制で、すべて時刻表を片手に決める。スタジオでは、用意された映像をつまみに、出演者が“エア旅行”を堪能するスタイルだ。これまでに寝台特急で行く四国・高松の旅、雲海を望む長野・信濃路の旅など、さまざまな旅のプランを提案。7日の放送では、金沢出身の女優・田中美里(43)、サックス奏者・上野耕平(28)をゲストに、石川・能登半島でイルカとの競演旅を“妄想”する。

 番組MCには、お笑いタレント友近(47)、「中川家」の礼二(48)が起用された。実は友近、以前から妄想旅好き。番組のコンセプトも、そんな友近にまつわるうわさ話をスタッフがキャッチしたことから始まった。菊地Pは「制作スタッフから募集した企画の中に『友近さんは時刻表が好き』という情報があって、ご本人にお話を聞いたら、『忙しくて頻繁に旅行に行けないから、電車で行った場所を想像するんです』とおっしゃっていたんです。これを膨らませられないかと思ったのが始まりです」と説明した。

 鉄道を軸にした旅ゆえに、各地の路線に詳しいもう1人の柱が必要だった。白羽の矢を立てたのが、芸能界きっての鉄道マニアで知られる礼二。菊地Pは「交通手段が鉄道ということと、友近さんとトークの相性も良さそうだったことから、礼二さんにお願いしました」と明かした。

 番組のコンセプトゆえ、「ご本人たちにあちこち行っていただくのは難しいなとは思っていました」(菊地P)というが、しゃべり上手な2人は、スタジオトークが多くの時間を占める番組では最適の人選だった。「元々しゃべりが突出しているお二人なので、組むパートナーに実力があればしゃべりだけでも成立すると思いました」と狙いを説明した。

 番組には2人のほか、女子鉄アナウンサーとして知られる久野知美(38)、毎回2人のゲストが出演。うち1人は、演歌歌手・徳永ゆうき(25)やシンガー・ソングライター土屋礼央(44)ら、鉄道に造詣の深い人々が出演し、番組に深みを与えている。「実は礼二さんや、徳永ゆうきさんには事前にストレートに聞いて、監修のようなこともしていただいたりしているんです。お二人ならどういう列車でもほとんどご存じですので、どういったことが面白いかというのを聞いたりしています」(菊地P)。一方で、内容が鉄道に偏りすぎないよう、各地のグルメ、観光地がバランス良く盛り込まれている。

 コロナ禍の時代に奇しくもはまった感があるが、実は企画はコロナ流行の半年以上も前。菊地Pによると、コロナ禍は「まったくの偶然でした」と驚く。新型コロナウイルスの感染拡大の影響をもろに受け、各地での映像素材収録は難航。4月予定の放送開始を延期した。時期が時期だけに、鉄道各社からの協力も受けづらい状況だった。「序盤の回は、電車の映像は鉄道会社さんなどからお持ちの物を提供していただいています。お店や料理の映像も、お店の方に映像を撮ってもらって送ってもらうこともあったんです」(菊地P)。必死のリモート素材集めで、6月にようやく放送を開始した。

 出演者が1つのテーブルで顔を突き合わせていた3月の収録開始当初から、現在は大きくソーシャルディスタンスを取って収録。複数回収録の合間には十分に換気をし、スタジオは必要最低限の人しか入らないようにするなど、感染防止を徹底しながら収録を続けている。

 電車の時刻をスマホで手軽に調べられるようになった時代に、あえて時刻表を片手に妄想する旅を提案した。「今はネットの社会ですけど、『昔、こういうのを調べて旅するのって、楽しかったよね?』というのをやってみたいと思いました」と菊地P。昭和ポップスのリバイバルなど、古さがレトロ文化として受け入れられている令和の今、「妄想トレイン」のような旅のスタイルも視聴者には新鮮に映っているのかもしれない。

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