「中年の星」木村前王位 完敗「ストレート負けは恥ずかしい限り」無冠から出直し

[ 2020年8月21日 05:30 ]

第61期王位戦第4局2日目 ( 2020年8月20日    福岡市大濠公園能楽堂 )

王位戦第4局で敗れた木村一基前王位(提供・日本将棋連盟)
Photo By 提供写真

 藤井の80手目を見た木村は駒台に右手をかざし「負けました」と黒のマスクで包んだ顔面を下げた。局後のインタビュー。4連敗での失冠に「ストレート負けは恥ずかしい限りで申し訳ない。また一から出直します」と再び直面した受難にも毅然(きぜん)と受け答えした。

 タイトルホルダー初勝利が遠かった。昨年史上最年長の46歳3カ月、7度目の挑戦で勝ち取った王位の座。その初防衛戦で、29歳年下の挑戦者に1勝もできなかった。

 タイトル戦でのストレート負けは2008年王座戦以来自身3度目。過去3局で最も勝利へ接近した第2局と同じ相掛かりへ進めた序盤について手応えを示した。一方、中盤の2日目朝、盤面中央の天王山に打ち据えた角を後悔した。

 封じ手から3手後。打ち場所は1日目夜から考えて、違う場所に決めていたが直前に迷いが生じたという。結果、攻めを呼び込むことになった。「王位戦に臨む姿勢、準備は変わらずやった。結果に結びつかなかった」と淡々と語った。

 一昨年度以降、決着した19度のタイトル戦は挑戦者の15勝4敗、勝率・789。予選などを勝ち上がった勢いそのままに番勝負へ臨む、挑戦者有利の傾向が強まった。木村は8冠中ただ一人の40代。藤井の印象について「ミスが少ない。対して私にはミスが多かった。反省材料になります」と語った「中年の星」。無冠からまた出直す。

続きを表示

2020年8月21日のニュース