依存症?

[ 2019年5月19日 09:00 ]

 【我満晴朗 こう見えても新人類】将棋の対局でスマホの持ち込みは厳しく禁じられている。通常の公式戦では基本的に荷物検査が義務づけられ、パソコンやタブレットの類いも含め、将棋会館内のロッカーに預けなければならない。

 では、万一にも、対局中にスマホがぽろっと出てきた場合はどうなるのか。

 日本将棋連盟では電子機器(将棋局面の解析または解析結果を送受信する能力を持つ機器)が対局中に見つかった場合、「対局者本人がその電子機器を自分の物だと認めた時は対局を継続することなく、その対局者は負けとなる」と定めている。つまり反則負けだ。当たり前のことだが。

 話は突然変わって柔道の場合。試合中に道着からスマホがぽろっとこぼれ出たらどうなるのか。

 そんなことあるわけないだろ、と決めつけてはいけない。なんと5月11日にアゼルバイジャンで開催された国際大会で実際に起きた出来事だ。男子81キロ級の試合開始後、組み手争いの最中にポルトガル選手の懐から四角い物体がポトリと落ちた。「RMC Sport」のウェブサイトによると、当該選手は素早くスマホを拾い上げて場外に放り投げたが、審判は試合を止めて「反則負け」を宣言。試合の一部始終に加え、「あ~やっちまった~」的な表情を浮かべるポルトガル選手の様子はネット上の動画で世界中に拡散されている。

 それにしても彼はなぜスマホを隠し持っていたのだろう。先のサイトには彼の弁明が掲載されてないので詳細は不明だが、対戦相手のデータとかクセとかを試合中に確認したかったのだろうか。いや待て。そんな七面倒くさいことをしなくてもコーチが助言すればすむ話。もしかして凶器として隠し持っていたとか。おいおい、プロレスじゃあるまいし。

 気になった点は他にもある。試合中のスマホ保持はどうして失格なのか?

 早速、国際柔道連盟の「試合審判規定」を読む。あった。「反則負け」の項目として「硬い物質又は金属の物質を身につけていること(覆っていても、いなくても)」と明記されているではないか。要は危険だから、だ。これも当たり前のこと。

 件のポルトガル選手の名はアンリ・エグティゼ。格闘技大国ジョージア出身の23歳で、16年前には欧州オープンという国際試合で優勝経験があるという。アゼルバイジャンの大会でも国を代表して出場したわけだから、来年の東京五輪に出場してもおかしくない。

 ちょっと見てみたい選手リストの3番目くらいにランクインさせておこうか。(専門委員)

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2019年5月19日のニュース