鈴木浩介 かみしめ続ける西田敏行の金言「セリフは覚えるのではなく食べて」 原点は「池中玄太80キロ」
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【俺の顔】俳優の鈴木浩介(44)は、憧れの西田敏行(71)との共演を実現させ、今やドラマ、舞台に欠かせない存在となった。特に、上司と部下の板挟みになる中間管理職のような役どころは絶品だ。放送中のテレビ東京「癒されたい男」(水曜深夜1・35)では連続ドラマ初主演も果たした。だが、「セリフは食べてください」など西田に授かった金言への理解は道半ばで、高き理想を追い求め続けている。
「それ、凄くあるんですよね。小物のサラリーマンや器の小さい役が多いので、ちっちゃいイメージがあると思うんです。それに共演者の方たちが皆大きくて、僕が小さく見えるんです」
初めて対峙(たいじ)した鈴木の体格の良さに少しばかり驚き、「意外に大きいんですね」とぶつけた時の答えだ。実は1メートル79の長身で、高校総体に出場した経験もある陸上で鳴らしたガッチリ系。確かにシーズン3が放送中のテレビ朝日「緊急取調室」でコンビを組む速水もこみち(34)が1メートル86だから、妙に納得してしまう。
トレードマークの一つである眼鏡も“小物感”を増幅させているのかもしれない。40本以上を所有し、衣装合わせに数本を持参し役柄に合わせて決めることもあれば、制作サイドが用意したものを使うこともある。
「インスピレーションで一つ気に入ったものがあると、フレーム違いで2つ買ってしまったりもします。気に入った眼鏡はずっと使うので長く使い続けるのがこだわりですね。二十数年使っているものもあって、それはもう作者の方も亡くなっているのでいつの間にか非常に貴重な眼鏡になっていることがあります」
俳優を志す原点は小学生の時に「感動してボロボロ泣いたのを覚えています」という、西田主演のドラマ「池中玄太80キロ」の再放送。ただ、会いたいという思いは常に心の奥底にあったが、自身が役者になることには直結しなかった。転機は大学1年の終わりに訪れた。
「やり残していることがあると思って自問自答したら西田さんに会いたい気持ちをかなえていない。人生がこの先右にいくのか左にいくのかを決断する分岐点が目の前に見えている感じがして、ここで試験を受けなかったら後悔する、やっておけば良かったと思う自分が目に浮かんだんです」
試験とは、西田が所属していた劇団青年座の研究所のことで、演技経験の全くない中での挑戦だったが見事合格。悩んだ末に大学を1年休学して芝居に打ち込む覚悟を決め、最初の演技実習で早くもその魅力を体感した。
「3つの戯曲から好きな演目を選び、男女でペアを組んで自由に音楽を付けたり稽古をして発表したのですが、その時に恥ずかしさで鳥肌が立つような何とも言えない感覚があって、相手にセリフをしゃべることも凄く新鮮だったんです。最初にはまったきっかけですね」
西田が青年座の舞台に出演した時は、出待ちをして握手をしてもらったこともある。2年の研究生を経て正式に団員となり、舞台で1シーンだけ一緒になったことはあったが、2015年のテレビ朝日「アイムホーム」で上司と部下として待望の初共演。その後も何度か共演の機会があり近年の活躍ぶりは目覚ましい限り。それでも、足元を見つめる謙虚さは忘れてはいない。
「今、インタビューを受けていること自体、あの時に勇気を持って一歩を踏み出していなければ絶対にないので、奇跡だと思っています。30歳まで頑張ってみるか、40歳まで続けられれば幸せなんじゃないかという、目の前の年齢設定を目標に頑張り続けてきた気がします」
その過程で、西田に言われ強く印象に残っている言葉がある。「セリフは覚えるのではなくて、食べてください」と、「お芝居をしないということは、100芝居をすることです」。なんとも哲学的で、その真意にはたどり着いていないことも自覚している。
「セリフを食べるという感覚は西田さんならではで、天才にしかできない発想なのかな、マネできるものではないという気もしますが、20代では分からなかったけれど少しずつその感覚が分かるようになってできるかもしれないと思うこともあります。ただ、西田さんの言葉を理解するためにはこれから先も随分時間がかかるでしょうし、こういうことだと腑(ふ)に落ちる時がくればいいなと思いながら続けています」
意欲に満ちた大きな瞳がさらに輝きを増した。
≪初主演ドラマでHな妄想膨らませる中間管理職役 「エロい男のイメージが…」≫「癒されたい男」で鈴木が演じているのは、中小企業の課長補佐・秋山というまさに得意とする役どころで、眼鏡はなし。部下のAAAの宇野実彩子(32)と高崎翔太(30)、部長の半海一晃(60)に振り回され、癒やしを求めて街で美女を見かけてはHな妄想を膨らませる。妄想シーンはモノローグのため、映像を見ずにアフレコで収録され「台本を読んで自分のイメージだけでやっていましたが、こんなに攻めている妄想だとは思いませんでした。それもどんどんエスカレートしていっているんです」と明かす。初主演という意識はあまりないそうだが「僕の中ではとても大切な記念の作品で愛着はあります。でも、これが代表作になるとエロい男のイメージがこの先付きまとう。それはそれで問題だなという気もしています」と苦笑いした。
◆鈴木 浩介(すずき・こうすけ)1974年(昭49)11月29日生まれ、福岡県出身の44歳。青山学院大在学中に劇団青年座の研究所に入所し、97年に団員に。2004年に退団し、07年のドラマ「LIAR GAME」で注目される。主な出演ドラマは「ドクターX~外科医・大門未知子~」(12年~)シリーズ、「昼顔」(14年)など。17年「ビジランテ」で映画初主演(大森南朋、桐谷健太とのトリプル)。15年に女優の大塚千弘(33)と結婚。
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