韓国プロ野球 新人選手の年俸は?人気選手が語る現実 いいもの食べるのは「新人年俸では無理」

[ 2024年3月19日 11:25 ]

室井氏が観戦した17日の試合(写真提供ストライク・ゾーン)
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 【室井昌也 月に2回は韓情移入】韓国野球委員会(KBO)は11日、2024年シーズンの選手登録現況を発表した。全10球団に所属する513人の平均年俸は1億5495万ウォン(約1704万円)。前年2023年を5・8%上回り過去最高額となった。最高年俸は朴東原(パク・トンウォン=LG)と柳賢振(リュ・ヒョンジン=ハンファ)が、25億ウォン(約2億7500万円)で並んだ。

 参考までにNPBの平均年俸は4468万円(2023年。日本プロ野球選手会発表)、トップは坂本勇人(巨人)と村上宗隆(ヤクルト)の6億円(推定)だった。

 日韓ともにこの年俸調査から外国人選手は除外。さらに韓国は新人選手の年俸も含まれていない。その理由として韓国の新人は最低年俸の3000万ウォン(約330万円)と決まっているからだ。日本も最低年俸(420万円)が定められているが、新人は一律ではない。

 韓国のルーキーにとって年330万円での生活とはどんなものか。今年プロ4年目で年俸が初めて1億ウォン台(約1100万円)に到達したキウムヒーローズの金揮執(キム・フィジプ=22)は新人当時を振り返った。

 「僕は実家通いだったので大丈夫でしたが、そうじゃない選手は食費などが大変だと思います。特にシーズンオフは食事だけではなく、トレーニング費用も負担しないといけないので出費がかさみます」

 また36歳でチームの4番を務める崔周煥(チェ・ジュファン)は、「プロ野球選手はいいものを食べなきゃダメだけど、新人の年俸では無理だよ。韓国は厳しい」と話した。

 彼らが所属するキウムは17日、MLBソウルシリーズの特別試合でロサンゼルス・ドジャースと対戦した。その試合の先発野手9人の平均年俸は約3394万円。一方のドジャースは約104億3000万円の大谷翔平を筆頭に9人の年俸総額は約268億1400万円(スポニチ調べ)、平均は約29億7933万円だった。

 キウムは前出の金揮執が前日に右手薬指を痛めた影響で出場を回避。また二塁手でチームの主将・金慧成(キム・ヘソン)が代表チームに専念するためメンバーから外れ主力不在で戦った結果、3―14の大差でドジャースに敗れた。

 この試合にキウムは新人選手6人が出場。年俸330万円の彼らが自身より900倍以上も稼ぐ選手と戦ったことになる。想像を絶するような格差の中で行われたこの対戦。洪源基(ホン・ウォンギ)監督が試合後に語った言葉が象徴的だった。「若い選手にとって、胸が熱くなるほどのいい経験になったと思う」。

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