光星が史上初の開幕戦延長タイブレーク制し初戦突破 2番手・岡本琉が10回から強心臓好救援

[ 2024年3月19日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第1日1回戦   八戸学院光星5―3関東第一 ( 2024年3月18日    甲子園 )

<関東第一・八戸学院光星>2番手で登板した岡本琉(撮影・亀井 直樹)
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 創設100年の節目を迎え、32校による13日間(準々決勝、準決勝翌日の休養日含む)の熱戦が開幕。いきなり延長タイブレークとなった開幕カードは八戸学院光星(青森)が5―3で関東第一(東京)を下した。低反発の金属製バットの影響で長打が両軍で1本のみだった接戦で10回から2番手で登板した岡本琉奨(るい)投手(3年)が2回無安打1失点(自責0)で勝利に貢献。星稜(石川)、熊本国府も勝利し、2回戦進出を決めた。

 一発同点のピンチでも鋼のメンタルを手にした左腕は動じない。延長11回2死三塁。最後は高めの直球で右飛に斬り、岡本琉は力強く握った左手で何度もガッツポーズだ。「自分の球なら打たれないと思って投げました」。堂々と胸を張った。

 ピンチで逃げ出すことばかりを考えていた弱気な姿はもうない。中学時代から母・博子さん(48)に「メンタルを強くしないといけない」と言われ続けてきたが「打たれたらどうしよう」という後ろ向きの性格はなかなか変わらない。昨秋は青森県大会、東北大会ともに決勝の先発を託されたがリードを許して降板し、チームも敗れた。「このままでは迷惑をかける」。覚悟を決めたオフは動じない精神力を手にするため、どんなにきつい練習も手を抜かなかった。何十本も行う350メートル走では音を上げる選手も多いが「ここで頑張れば甲子園で活躍できる」と言い聞かせ、心身ともに成長した。

 全国の注目を集めた開幕戦。背番号1を昨夏の甲子園で譲った同じ左腕・洗平比呂(あらいだい・ひろ=3年)からバトンを受け、無死一、二塁から攻撃が始まるタイブレークの延長10回から2番手で登板した。打線は直前の攻撃で無得点。1点も与えられない厳しい状況だったが「打たれるなんて思わなかった」と直球主体の強気の投球を披露した。3番から始まる攻撃を無失点に抑えたことが、勝利への出発点。好救援を見せた左腕について、仲井宗基監督も「本当に見事なピッチングだった」と称えた。

 家庭の事情で幼少期から母と兄2人との4人暮らしで「甲子園で活躍しプロも目指して恩返ししたい」と青写真を描く。洗平とともにチームを支える岡本琉は「(背)番号じゃなく、マウンドに上がった人がエースだと思って投げています」と言う。前向きに、明るい未来を信じて左腕を振る。(村井 樹)

 ≪開幕戦で延長突入は10度目≫選抜の開幕戦が延長戦になったのは21年の神戸国際大付3―2北海(延長10回サヨナラ)以来10度目。春の開幕戦タイブレーク決着は初めてとなった。また、この日は第3試合も延長戦に突入。開幕日に延長戦2試合は68年(大宮工5―4防府商=10回、清水商8―7星林=12回サヨナラ)と22年(和歌山東8―2倉敷工=11回、九州国際大付3―2クラーク=10回サヨナラ)に次いで2年ぶり3度目だ。

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