【選抜100年 聖地の華】田辺・寺西邦右投手 野球をやめるつもりだった右腕が強豪相手に奮投

[ 2024年3月19日 05:00 ]

第96回選抜高校野球大会第1日   田辺2―4星稜 ( 2024年3月18日    甲子園 )

<田辺・星稜>力投する田辺・寺西(撮影・北條 貴史)
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 星稜打線を苦しめたのは、野球を辞めるつもりだった右腕だ。田辺・寺西邦右は「勉強を頑張ろうと思って田辺に進んだので、野球と勉強の両立はしんどいかな…と思っていたんです」と高校では当初、バレーボール部かバスケットボール部にするかで悩んでいた。しかし、その才能を聞きつけた野球部が、それを許さなかった。

 中学時代は軟式野球部で、近隣校と合同チームを組んで戦った。恵まれない環境でも、球速は130キロ超え。そんな好投手が、高校では野球をやらないつもりだと言う。そこで入部を心待ちにしていた田中格監督は、新入生を通し何度も勧誘。その熱意が寺西の気持ちを動かした。「やっぱり野球やろうかな」。勉強に集中しようとしていた“優等生”な性格は、野球にも生きる。故障に悩まされ続けても努力を怠らず、気づけば最速139キロ右腕として、甲子園にまでたどり着いた。

 中学までは友達と勉強を教え合う時間が楽しかった。「勉強が好きだったんですよ」。今は授業の合間や電車通学を利用し、勉強時間を捻出する。「大学でも野球を続けたいと思っています」。夢舞台を経験し、改めて学んだ野球の楽しさ。もう勉強一本の生活は考えられなくなった。 (河合 洋介)

 ◇寺西 邦右(てらにし・ほうすけ)2006年(平18)10月4日生まれ、和歌山県日高郡出身の17歳。小学2年から稲原少年野球クラブで野球を始める。田辺では1年夏から背番号20でベンチ入りし、2年秋から背番号1。1メートル79、74キロ。右投げ右打ち。

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