【センバツ】“新基準バット1号”は豊川・モイセエフ 強打者がライナーで2ラン突き刺し聖地どよめき

[ 2024年3月19日 11:02 ]

第96回選抜高校野球大会第2日第1試合   豊川-阿南光 ( 2024年3月19日    甲子園 )

<豊川・阿南光>8回、2ランを放つ豊川・モイセエフ(撮影・大城 有生希)
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 第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)は19日、大会2日目を迎え、第1試合で“新基準バット1号”が豊川のモイセエフ・ニキータ(3年)のバットから飛び出した。

 1-5の8回1死一塁、2球で簡単に追い込まれたが3球目、少し浮いたフォークを見逃さずフルスイング。ライナー性の打球が右翼ポール際へ吸い込まれると人差し指を突き上げ、喜んだ。迫力満点の一発に聖地もどよめいた。

 両親がロシア出身だが、モイセエフは日本生まれで小学1年から野球を始めた。母国では野球になじみのなかった両親がルールから勉強して支えてくれた。身長1メートル80。高校入学時は体重66キロと細かった体も今では80キロ台まで大きくなった。

 ベンチプレスで120キロを挙げるパワーが武器で、東海大会は打率・625をマーク。決勝では愛工大名電が外野4人態勢を敷いて警戒するほど華のある長距離砲が、聖地でも持ち前の打力を発揮した。

 低反発の金属製バットに完全移行して迎えた今大会。大会1日目の前日18日の3試合では本塁打が生まれず、この一発が大会第1号&“新基準バット1号”となった。

 新基準バットは従来のバットより約10メートル飛ばなくなるといわれる。最大直径がこれまでの67ミリ未満から64ミリ未満と3ミリ細く、打球部の素材がこれまでの3ミリから4ミリ以上と厚くなる。日本高野連の実験数値では平均打球速度が6・3キロ低下するとされ、飛距離では10メートルほど減るとの見方もある。

 導入の最大目的は主に投手の事故防止。19年夏の甲子園で、打球が岡山学芸館の投手の顔面に直撃して頬骨を骨折するなど、近年の打撃技術の向上とともに守備側のケガへの懸念は増していた。73年に登場し甲子園大会では74年から使用が認められた金属バット。01年に重さ900グラム以上、最大径67ミリ未満の基準が設定されたが、今回の低反発化は導入以降最大の変革となる。

 大会第1日の試合後には八戸学院光星・洗平が「詰まった時はほんとに飛ばないなって。でも、芯を食ったら、あんまり変わらないのかなと思います」と語れば、延長11回に決勝打を放った萩原は「自分は特に。ちょっと違うなということはなかった。ほかの人を見ていると全然飛んでいないなと思います」と素直な感想を口にした。

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