熊本国府　延長10回タイブレークの激闘の末、サヨナラで初出場初勝利

第96回選抜高校野球大会第1日１回戦   熊本国府2―1近江 （ 2024年3月18日    甲子園 ）

＜熊本国府・近江＞勝利し、駆け出す熊本国府ナイン（撮影・平嶋　理子）
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　節目の選抜100周年大会が幕を開け、開幕日は1回戦3試合が行われた。昨秋の九州王者で初出場の熊本国府（熊本）は近江（滋賀）に延長10回タイブレークの末に2―1でサヨナラ勝ち。同点の8回から登板したサイド左腕、植田凰暉（ごうき、3年）が3回2安打無失点、3奪三振の好救援で春夏通じて甲子園初勝利に貢献した。

　カクテル光線に照らされた甲子園のグラウンドで熊本国府が歴史をつくった。初出場初勝利を、延長タイブレークによるサヨナラ勝ちで彩った。校歌が響きわたると、三塁側スタンドに駆けつけた約700人の応援団も感慨に浸った。好救援を演じた植田凰暉（ごうき）は「凄くうれしい」と満面の笑みだ。

　エースの坂井理人が7回6安打1失点と好投。背番号10の左腕はそのバトンを受け、マウンドに上がった。8回に1死二、三塁のピンチを招くも、直球で2者連続三振を奪って波に乗った。タイブレークとなった延長10回無死一、二塁では、送りバントに巧みなフィールディングで応じて三塁封殺。次打者を遊ゴロ併殺に仕留めて無失点に抑えた。高1夏にサイドに転向。球の出どころを見づらくした変則フォームで近江打線を翻弄（ほんろう）し、「9回、10回は状況を楽しめた」と3回2安打無失点、3奪三振の快投で勝利をたぐり寄せた。

　堅守も光った。初回2死一、三塁、重盗阻止の好判断を見せた二塁手・野田希（のぞむ）主将は「練習からやってきたことを発揮できた」と胸を張った。31歳の山田祐揮監督は今大会からの低反発バット導入に照準を合わせ、守備力の高い中学生を中心に勧誘。1年時から鍛え上げてきた成果を最高の舞台で発揮し「守って、守ってが持ち味。思い描いたゲームになった」。老かいな守備重視の野球で、33歳年長の近江・多賀章仁監督率いる実力校に競り勝った。

　目標は甲子園ベスト4。熊本国府の躍進は、これからが本番だ。（杉浦　友樹）

　《内田が同点打＆チャンス演出》熊本国府の打者陣では3番・内田海（2年）の活躍が光った。先制を許した直後の3回に左中間を破る同点の適時二塁打。タイブレークの10回には先頭で初球に送りバント決めて、サヨナラのチャンスをつくった。「実は小学6年の時から試合でバントをしたことがなかった」と苦笑い。役割を果たし、ほっとした表情だった。