プロ初勝利の広島・森 「継続は力なり」山口高志氏の言葉胸に 2軍で制球力磨いた成果

[ 2022年9月8日 04:45 ]

セ・リーグ   広島3―1中日 ( 2022年9月7日    バンテリンD )

<中・広>プロ初勝利を挙げた森は、ウイニングボールを手にスタンドの声援に応える(撮影・椎名 航)
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 広島ドラフト2位の森翔平投手(24)が7日、プロ初先発の中日戦でうれしいプロ初勝利を挙げた。初回は制球に苦しみながら徐々に修正し、5回を3安打1失点の好投。代打交代した6回に坂倉将吾捕手(24)が決勝の右前打で援護した。チームは今季3度目の5連勝。3位・阪神が勝っても1ゲーム差のまま離れない。

 敵地・名古屋で左腕の笑みがはじけた。5回で92球を要しながら3安打1失点に抑え、プロ初先発でつかんだ待望のプロ初星。チームの5連勝に貢献し、森は喜びの中に充実感をにじませた。

 「率直にうれしいです。代打が送られた時に秋山さんから“祈っておけ”と言われ、その祈りが届いてすごくうれしかったです」

 暗雲漂う立ち上がりだった。先頭・岡林に四球を与え、大島には先制二塁打。続く阿部も四球で歩かせた。隠せない緊張感。だが、ここで開き直る。ビシエド、A・マルティネスの中軸を連続空振り三振。最少失点に抑えたことが、2回以降につながった。

 「(連続三振はワンバウンドしてもいいからと)腕を振った。あそこで2つアウトを取れたのは大きかった」

 直球の最速は146キロ。与四球4は改善が必要ながら、カットボールやフォーク、チェンジアップなどの変化球を織り交ぜて「0」を並べた。打席が回った同点の6回先頭で代打が送られ、坂倉の2点勝ち越し打が飛び出す幸運にも恵まれた。

 「継続は力なり」が座右の銘。母校・関大のアドバイザリースタッフで、阪急で活躍した山口高志氏から伝授された言葉だ。初昇格した6月は救援で5試合に登板。7月8日の抹消後は、しかし、2軍暮らしが続いた。

 「即戦力で獲られたのに結果も出ず、何をしているんだろう…と焦る気持ちはありました。まだ全然ダメですが、課題を一つ一つクリアしていこう…と」

 偉大なOBの教えを胸に、2軍ではストライクゾーンの中で勝負できる制球を磨いてきた。3位・阪神を1差で追いかける最終盤で任された大役。佐々岡監督は「5回1失点なら十分。走者を出しながらも、粘り強く投げてくれた」と称え、先発継続を示唆した。

 「クライマックスシリーズもあるので、リズムよく投げ、チームが勝てるような投球をしていきたいです」

 ウイニングボールは故郷の鳥取に住む両親に手渡すという24歳。山陰の風雪は、心身の粘りを鍛えた。この1勝は、輝く未来への序章に過ぎない。(江尾 卓也)

 ◇森 翔平(もり・しょうへい)1998年(平10)1月1日生まれ、鳥取市出身の24歳。鳥取商では1年夏からベンチ入りし、甲子園出場はなし。関大では3年春からリーグ戦に登板し、4年秋の明治神宮大会準優勝に貢献。三菱重工Westから21年ドラフト2位で広島入り。今季は6月7日に1軍初昇格し、同12日の西武戦に中継ぎでプロ初登板。1メートル77、80キロ。左投げ左打ち。

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