広島・栗林 新人史上最長の10戦連続セーブ 快挙の裏にはプロの間に合わせた対応術と変わらぬ度胸

[ 2021年9月29日 05:30 ]

セ・リーグ   広島2-0阪神 ( 2021年9月28日    甲子園 )

<神・広(19)> 阪神に勝利し、マウンドでハイタッチをする栗林(右から3人目)ら(撮影・平嶋 理子)                      
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 広島・栗林良吏投手(25)が28日の阪神戦で、15年DeNA・山崎の記録を更新し、新人最長となる10試合連続セーブを達成した。2点優勢の7回から島内、ケムナとつないだ零封リレーを完成させる今季27セーブ目。鈴木誠也外野手(27)は、4回に自己最多に並ぶ決勝の30号ソロを放って4連勝に導いた。

 新人最長の開幕から22試合連続無失点に始まり、球団新人最多25セーブ超えも達成。こうして新人記録を塗り替え続けている栗林でも、今回は珍しくマウンド上で記録のことが頭をよぎったと言う。

 「こういう記録もあるんだな…と知っていたので、今日は少し意識してしまったところはありましたね」

 ただ、記録のかかった重圧は何度も経験済みとあって、支障は全くなかった。2―0の9回1死から大山に四球を与えても冷静だ。糸原に追い込んでからファウル3球で粘られると、「(ストライクに)入れにいかなかったことが良かった」とボール気味の高めカットボールで空振り三振を奪った。続くサンズは3球連続の直球で右飛に抑えて、難なく新人最長となる10試合連続セーブを達成してみせた。

 「(記録を)意識して力が入りすぎることはなかった。ゼロでつないでくれたので、自分もゼロに抑えようという気持ちになれた」

 開幕直後と比べて変わったことがある。1球ごとにかける時間が、わずかに長くなった。当初は、打者が打席内で準備している最中もセットポジションに入ったまま待ち続けるなど、相手のリズムに合わせていた。「だんだんと投げ急がなくなった。プロでは、打者の準備がこれぐらい長くて当たり前なんだな…と考えるようになって慣れてきた」。この日は、マルテが1球ずつ打席を外すと、ロジンを付けながら深呼吸するなど自分の間合いに持ち込んだ。

 入団前から変わらないこともある。捕手のサインに遠慮することなく首を振っている。この度胸は、社会人での苦い経験が原点になっていると言う。都市対抗野球では、2年連続で自身の被弾が敗戦につながった。「社会人は一球勝負。本塁打が許されない場面でどの球を選択すべきか…と考えるようになった」。この日は、正捕手の会沢に首を振って直球を要求。自分自身でも配球を組み立てることで、今季の被弾ゼロにつなげてきた。

 開幕からセーブ機会を失敗したことはない。「9回までつないでくれた人たちの期待を裏切らないようにしたい」。仲間の思いに応え続けて、また新たな勲章を手に入れた。(河合 洋介)

 ▼広島・佐々岡監督(栗林について)走者を四球で出したけど、落ち着いてしっかりと切り替えられている。ズルズルといかないところが本当に新人らしくない。安心して見られる。

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2021年9月29日のニュース