「来年は春夏連覇しろ」 痛恨2失点の大阪桐蔭の2年生右腕・川原 エースから託された連覇の夢

[ 2021年8月23日 13:23 ]

第103回全国高校野球選手権 2回戦   近江6-4大阪桐蔭 ( 2021年8月23日    甲子園 )

<近江・大阪桐蔭>試合後、涙しながらキャッチボールする大阪桐蔭・川原(撮影・河野 光希)
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 涙が止まらない。4―0からまさかの逆転負け。大阪桐蔭の背番号15、2年生右腕・川原嗣貴(しき)は声を上げて泣いた。

 「先輩たちも西谷先生も信じて送り出してくれたのに、期待に応えられずに悔しい。自分の力不足で先輩たちの夏を終わらせてしまった」。4―4の8回に2番手で登板。味方エラーで先頭打者を出した後、近江の送りバントをバックの好守と自らの好フィールディングで阻止した。ところが、2死一塁から連続四球で満塁。近江の3番・山口蓮太朗(3年)にカウント1―2から勝負に行った141キロの外角直球を右翼線へ運ばれた。

 1メートル88の長身から投げ下ろす威力ある直球が武器。でも「ずっとストレートが高めに浮いてて。四球で崩れて自分の弱さだと痛感しました」。西谷浩一監督からも「投手の総力戦だぞ」と言われていたのに、チームの力になれなかった。

 そんな川原に前を向かせたのはエース・松浦慶斗(3年)の言葉だった。「これで終わりじゃないぞ。来年は春夏連覇しろ」。大きな夢を託された。実は川原の父・宏一さん(58)も85年センバツに広陵(奈良=現大和広陵)のエース兼4番で出場。1回戦で東海大五(福岡)に、この日と同じ4―0から逆転負けを喫している。

 そう、甲子園の借りは甲子園でしか返せない。先輩の分も、父の分も。「甲子園で借りを返したい」。涙が乾いた川原の目は、来年の甲子園へ向けられていた。(秋村 誠人)

 ◇川原 嗣貴(かわはら・しき) 2004年(平16)6月30日生まれ、大阪府出身の17歳。幼稚園年長時からポルテ野球クラブに入り、小学3年から千里丘イーグルス、千里丘中時代は北摂津リトルシニアで投手。大阪桐蔭では今春の大阪府大会からベンチ入りした。1メートル88、86キロ。右投げ左打ち。

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