明桜・風間 6回2失点139球降板「真っすぐだけでは勝てないということを学んだ」、試合後プロ志望表明

[ 2021年8月23日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会2回戦   明桜2―8明徳義塾 ( 2021年8月22日    甲子園 )

<ノースアジア大明桜・明徳義塾>3回ベースカバーに入るノースアジア大明桜・風間=中央(撮影・平嶋 理子)
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 剛腕散る――。2回戦4試合が行われ、世代最速の157キロを誇るノースアジア大明桜(秋田)の風間球打(きゅうた)投手(3年)は明徳義塾(高知)戦に先発。139球を投げて6回2失点で降板に追い込まれ、チームも2―8で敗れた。知将・馬淵史郎監督(65)率いる明徳義塾は今秋ドラフト1位候補の攻略に成功し、5年ぶりに3回戦に進出した。

 試合終了のサイレンが鳴り、明徳義塾の校歌が響く甲子園。目に焼きつける風間に涙はない。力不足を痛感し、現実を受け止めた。

 「悔しい。真っすぐだけでは勝てないということを学んだ。まだまだ実力が足りない」

 6回を6安打2失点で降板。1―2の状況だったが、139球を費やし、輿石重弘監督は「5回くらいから疲れが見えてきた」と振り返る。7回から右翼に回った。試合の展開次第で再登板もあったが、救援陣が失点を重ねて再びマウンドに上がることはなかった。

 「変化球の決め球を見極められて、真っすぐもカットされて苦しかった」。序盤からスライダーやフォークなど変化球の制球に苦しみ、5四球を許した。打者は27人中16人がファーストストライクに手を出さず、3ボールも10度を数えた。ストライク率は約61%と低く、球数が増えていった。1―1の5回に1点を勝ち越されると、打線もその裏の無死満塁の逆転機を逸した。

 それでも大器の片りんを見せた。3回に初戦の最速を2キロ更新する152キロを計測。150キロ超えも14球あり、8三振を奪った。巨人・榑松伸介アマスカウト統括は「高校生の中ではトップクラス。12球団のドラフト1位候補に入ってくると思う」と評し、西武・渡辺久信GMも「将来性はNo・1。原石だね」とプロでの成長に期待を寄せた。

 原石。その言葉通り、2年時に最速150キロだった直球は、今春に153キロ。今夏の秋田大会では157キロまで伸ばし、スケールアップした。初めての聖地では降雨ノーゲームも経験した帯広農との初戦で10三振を奪い完投する白星も挙げ「甲子園で思い切ってプレーできてよかった」と爽やかに振り返った。試合後にプロ志望を表明。「上(プロ)の舞台でやりたいなと思っています」と言い「変化球でストライクや空振りを取れるように。そこが課題」と先を見据えた。名前は球打。野球の申し子は次のステージへ向かう。(柳内 遼平)

 ▼ヤクルト・橿渕聡スカウトグループデスク まだ上半身主導のフォームだけれど、それであれだけのボール。下半身が連動してきたら、どんなボールを投げるのか楽しみ。ドラフトの上位じゃないと、ご縁がないのかなと。

 ▼ロッテ・永野吉成プロ・アマスカウト部長 同じフォームで投げ続けることができていなかったり課題はあるが、ポテンシャルは素晴らしいものがある。結果どうこうの選手ではない。

 ▼日本ハム・栗山監督(プロ志望表明に)これからの野球界のために、楽しみな投手が出ることは凄く重要なことだと思う。

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