「江夏の21球」ほうふつ!日大山形・滝口 気迫の13球で3連続K締め 9回4―1無死満塁から登板

[ 2021年8月11日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会第1日 1回戦   日大山形4-1米子東 ( 2021年8月10日    甲子園 )

<日大山形・米子東>2番手で登板した日大山形・滝口(撮影・河野 光希)
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 第103回全国高校野球選手権大会が10日、甲子園球場で開幕。1回戦3試合が行われ、開幕戦は日大山形が米子東(鳥取)を4―1で下した。3点リードの9回無死満塁から救援した滝口琉偉(るい)投手(3年)が圧巻の3者連続三振で後続を断った。開幕戦は1979年以来42年ぶりで2戦2勝。初出場の新田(愛媛)は静岡を4―2で下した。

 2度も首を振った。滝口が選んだのは、一番自信を持つ直球。145キロを外角に投げ込み、最後の打者から空振り三振を奪った。圧巻の3者連続三振。絶体絶命のピンチを力に変えた13球だった。

 「5回から準備していたけど、まさか無死満塁とは…。でも、自分が抑えるという強い気持ち。集中した投球ができました。凄く投げやすい球場でした」。右腕はそう振り返り、甲子園に感謝した。

 4―0の9回にエースの斎藤堅史(3年)が4連打を浴びた。1点を返され、なおも無死満塁。背番号10がマウンドに向かった。

 1メートル82、82キロのがっしりとした体から全力で腕を振った。1人目を145キロ直球で見逃し三振。2人目も得意のスライダーで空振り三振を奪った。勢いは止まらない。3人目の初球に自己最速を1キロ上回る147キロを計測し、3者連続三振で締めた。13球のうち8球を直球で押し込み、8年ぶりの甲子園白星。開幕戦では79年に新居浜商(愛媛)を下して以来2連勝に導いた。

 絶対的な守護神は、ピンチをプラスに変えた。昨年12月に右肘を手術。高校ラストイヤーを控えながら、3カ月間のリハビリ期間は体幹と下半身を鍛え上げた。「自分の体を見つめ直す期間になったと思います」。山形大会以降、荒木準也監督は抑えとして固定。直球は130キロ台ながら制球力のあるエース斎藤が試合をつくり、10キロ以上速い滝口で圧倒する。4年ぶりとなった甲子園でも「勝ちパターン」を発揮した。

 好打者の中野(現阪神)を擁し、4強入りした13年夏以来の進撃へ。滝口は「これから、どんどん強い高校と当たるけど、シビれる場面でも強気の投球ができれば。甲子園で150キロを出したい気持ちはあります」と語気を強めた。夢は最速157キロを誇るノースアジア大明桜(秋田)のエース風間球打(きゅうた=3年)と投げ合うことだ。(伊藤 幸男)

 ◇滝口 琉偉(たきぐち・るい)2003年(平15)9月9日生まれ、山形県出身の17歳。小1で野球を始め、東根三中では軟式野球部に所属。日大山形では1年秋からベンチ入り。50メートル走6秒0。遠投115メートル。1メートル82、82キロ。右投げ左打ち。

 ≪9回無死満塁から切り抜けた「江夏の21球」 カーブの握りのままスクイズをウエスト 79年近鉄破り日本一≫9回無死満塁を切り抜けた投球は「江夏の21球」が有名だ。79年の広島―近鉄の日本シリーズ第7戦。広島の江夏は4―3の9回に無死満塁とされたが代打・佐々木から空振り三振を奪う。続く石渡の2球目、途中でスクイズを察知してカーブの握りのままウエストし、スクイズを失敗させて三塁走者をアウトに。最後は21球目のカーブで石渡を空振り三振に仕留め、日本一に導いた。

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