日本航空・バデルナ完封1号 英語と日本語操るバイリンガル左腕

[ 2021年8月11日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会第1日 1回戦   日本航空4-0東明館 ( 2021年8月10日    甲子園 )

<日本航空・東明館>3回1死二塁、日本航空・久次米のファインプレーに笑顔を見せるバデルナ(撮影・平嶋 理子)
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 最大のピンチは0―0の6回だった。2死一、二塁。ワンバウンドの打球が、日本航空のバデルナ・フェルガス(3年)の1メートル88の長身の頭上を越える。中前打を中堅手エドポロ・ケイン(3年)が好返球し本塁アウト。「自分もしっかり投げないといけない」とギアが上がった。

 直後の6回、重盗で先制。8回に3得点とエースの粘りが、打線の援護を呼んだ。自己最速タイの136キロをマーク。7回以降は無安打、125球の熱投で5安打無失点に封じた。初めての聖地に「思ったより大きかったのでビビりました」と言った左腕の公式戦初完封が、大会初完封。「粘って投球できた」と笑った。

 父はドイツとハンガリーにルーツを持ち、母は香港出身。英語と日本語を操るバイリンガルだ。6歳から12歳までピアノも習った。繊細な指先からコーナーを突くスライダーなど、変化球の制球が光った。

 6月、学校内で新型コロナウイルスのクラスターが発生。多くの部活動が全国大会の予選出場を辞退した。野球部も練習試合なしで山梨大会を戦った。05年以来16年ぶりの甲子園勝利。バデルナは「(大会に)出られなかった部活の分も頑張ろうと思いました」と背負った思いの力を口にした。(柳内 遼平)

 ◇バデルナ・フェルガス 2003年(平15)10月13日生まれ、大阪府出身の17歳。小1で野球を始め、飯の峯中では大阪泉南ボーイズでプレー。日本航空では2年秋からベンチ入り。趣味は映画観賞。好きな言葉は「諦めない」。1メートル88、85キロ。左投げ左打ち。

 ≪重盗で決勝点奪う≫決勝点は重盗で奪った。0―0の6回2死一、三塁。三塁走者の久次米陸士(くじめ・りくと)主将(3年)は「捕手が(二塁へ)投げる瞬間にスタートを切れば、自分の足なら還れる自信があった」と間一髪のタイミングで滑り込んだ。父・大介さん(46)は「ミラクル市川」と呼ばれた市川(山梨)野球部出身。91年夏の甲子園出場時は1年生でベンチに入れなかっただけに「父の分まで甲子園で勝ててよかった」と喜んだ。

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2021年8月11日のニュース