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担当記者が感じた特別な夏 聖地に復活した「音」と「涙」、2年前の夏に引けを取らない

[ 2021年8月11日 05:30 ]

第103回全国高校野球選手権大会 ( 2021年8月10日    甲子園 )

<第103回全国高等学校野球選手権大会開会式>ブラスバンドによる演奏(撮影・河野 光希)
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 2年ぶりに夏の甲子園に球児が帰ってきた――。第103回全国高校野球選手権大会が10日に開幕し1回戦3試合が行われた。新型コロナウイルス感染拡大の影響で昨年は中止となり2年ぶりの開催。コロナ下で厳戒態勢の中、選手らはマスクを着用して入場行進するなど例年とは違う「夏模様」も、一投一打に全力を注ぎ、勝利にかける熱い思いは不変だった。

 「聖地」に戻ってきた特別な夏。新型コロナウイルス感染再拡大で開会式は簡素化され、選手はマスクを着用し入場行進も外野から少しの距離を直進しただけ。平時とは異なる大会の幕開けだった。

 ただ、履正社が決勝で星稜を下し初優勝した19年夏から、戻ってきたことを実感したものが二つある。一つは「音」だ。ブラスバンドが許可されたという単純な事象だけではない。声を出しての応援ができないからこそ、手拍子、メガホン、太鼓の一叩きに力がこもり演奏、球音と共鳴する。この音の迫力は、歓声がなくとも2年前の夏に決して引けを取らないと感じた。

 もう一つ、大きいのは高校野球の代名詞でもある「涙」。昨夏に開催された交流試合では、ほとんど見た記憶がない。決して選手が本気でプレーしていないわけではなく、勝っても負けても1試合で終わりという心の準備ができていたからだが、次がある下級生を取材しているような違和感が随所にあった。

 昨年、夏の甲子園大会中止が決まった直後、ある強豪校の監督は「全国の頂点を目指す過程でどれだけ努力してきたか、それこそが後の人生に生きてくる。“目標を持て”と指導しているのに、目標がなくなってしまったら、本気の涙すら流させてあげられない…」と苦悩を打ち明けた。この日の3試合はすべて終盤まで勝敗が分からなかった。第3試合で日本航空に敗れた東明館の主将・加藤晴空(そら)の、あふれ出そうな涙を必死でこらえる表情に、高校野球を全うした約3年間がにじんだ。

 小松大谷の主将・木下仁緒(にお)は選手宣誓で目標がなくなった1年前の悲劇にも「くじけませんでした」と強い精神力で乗り越え、2年分の思いを背負い憧れの舞台にたどり着いた。「高校球児の真(まこと)の姿を見せる」――。特別な17日間、球児の底力を見届けたい。(アマチュア野球担当・北野 将市)

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