2年連続の無観客試合に感じる空しさ

[ 2021年4月28日 10:30 ]

27日、無観客でヤクルト―巨人が行われた神宮球場(撮影・木村 揚輔)
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 試合開始30分前の午後5時。神宮球場周辺は静かだった。人影はまばら。いつものようにユニホームを着たプロ野球ファンの姿はなく、近隣のコンビニにも行列はなかった。

 4月27日のヤクルト―巨人戦(神宮)の取材に出向いた。この日から昨年7月以来となる無観客試合が始まった。報道陣の取材スペースも通常と異なり、室内の記者席から2階のバックネット裏スタンド席に。20℃近くあった気温は夕方にはグッと下がり、風も強く、寒さも厳しかった。球団側の好意で支給されたカイロを背中に張り、試合を観ていた。

 打球音やボールがミットに収まる音が球場内に響く。両軍ベンチからの声も聞こえてくる。昨年、初めて経験した無観客では、これまでとは異なる環境に対してある種の新鮮さを感じたこともあったが、2年連続となると印象も変わってくる。球場上空を通過していく飛行機のエンジン音が空しく轟いていた。

 試合は初回から乱打戦。巨人はウィーラーのバックスクリーン弾に岡本のプロ通算100号アーチ。ヤクルトは山田と村上の今季初アベック弾が飛び出した。神宮の夜空に打ち上がった本塁打合戦。客席にファンの姿があれば、もっと盛り上がっていたことだろう。

 無観客開催を決めた24日、斉藤コミッショナーは「厳しい変更を余儀なくされたが、プロ野球としては対象地域の試合を無観客という苦渋の選択をしました。ただ今回はあくまでも例外的選択となります」と話した。ファンの大切さ――。これは2度目の無観客でも、昨年と同じように強く痛感させられた。(川手 達矢)

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2021年4月28日のニュース