巨人・原監督 開幕に向け“三原イズム”で選手鼓舞「プロとしてベストを」

[ 2020年3月20日 05:30 ]

<巨人練習>練習前の円陣で、ナインに話をする原監督(撮影・森沢裕)
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 プロ野球は新型コロナウイルスの感染拡大の影響で当初のシーズン開幕だった20日から各地で無観客の練習試合をスタートさせる。開幕は4月中旬以降にずれ込む見込みで先行きは不透明ながら、選手は大歓声を浴びてプレーできる日が来ることを信じて準備するのみ。巨人・原辰徳監督(61)は東京ドームでの全体練習前にナインを集め、改めてプロとしての自覚を促した。

 本来であれば球春到来に胸躍る開幕前日。全体練習前の静かな東京ドームで円陣を組み、原監督が道しるべを示した。

 「僕自身も毎日不安な状態で朝を迎えている。しかし我々はユニホームを着て、プロとしているわけだから。まずは一日、今日のベストを尽くそう」

 新型コロナウイルスの感染拡大で開幕は延期。現時点では日程が不透明で逆算ができず、選手は難しい調整を強いられている。計画が立たない不安を取り除くべく、指揮官は「一日の中で。ワンゲームの中で。これをやってみようと。ただ打った、投げた、走っただけではおなかが減るだけ」と日々の目的を明確にすることを命じた。

 胸には監督通算1687勝の名将・三原脩氏の座右の銘「日々新(あらた)なり」がある。義理の息子で巨人でもコーチを務めた中西太氏から現役時代に教わり「自分の大事な言葉として残っている」と明かす。人生訓やプロの在り方が書かれた自筆のノートも読ませてもらい「プロとは限界を決めない、むしろ限界を超えたところにあるんだ、と分かった」と振り返る。あるページには「投ゴロで全力疾走する打者はプロではない」という趣旨の言葉。裏を返せば「プロの投手が失策をするはずがないと」と三原氏が高い質を求めたことを意味する。

 この日、原監督はナインに「プロとして恥ずかしくないよう、プロらしく野球と向き合おう」とも訴えた。選手たちは、その言葉を胸に黙々と汗を流した。来るべき日に備え、原巨人は前に進む。(神田 佑)

 ▽三原脩 1911年(明44)香川県生まれ。旧制高松中、早大を経て、34年に職業野球契約選手第1号として巨人の前身球団に入団。47年から5球団で監督を歴任し、巨人をはじめ西鉄、大洋で計6度優勝し、4度の日本一。「三原マジック」と称された独創的な采配で、歴代2位の監督通算1687勝を挙げた。73年オフに日本ハムの初代球団社長に就任。83年野球殿堂入り。84年に72歳で死去。

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